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かえーる人

岡山県
真庭郡

2015年01月08日 更新

いつも素のじぶんでいること。誰に対してもそのまんまでいること

湯原温泉八景 上塩浩子

岡山県にある、 湯原温泉八景 上塩浩子さんに、お話を聞いてきました。

1はじめに

丸尾

カエール人編集部 丸尾宜史 (以下、丸尾)
よろしくお願いします。

上塩

上塩浩子(以下、上塩)
よろしくお願いします。

丸尾

上塩さんは、ここ湯原温泉旅館の八景で女将をされていますが、八景は、どういったコンセプトの温泉旅館なのでしょう。

上塩

「おかえりなさい」というのが、私どもの宿の大切な柱です。いつどんな時でもお客様が知り合いの家に帰ってきたようなそんな温かさをもってお迎えできたらいいなと思っています。
田舎のおっちゃん、おばちゃんがいるんだよって、知り合いがいるんだよーっていうような(笑)

丸尾

先ほどお客さんが来られた時も、お知り合いかな?と思うような感じ、距離感だと感じました。

上塩

そうですね。ひとそれぞれ好みは色々あると思うんです。だけどうちの宿はそういう宿です、ということをはっきりと示していこうと考えています。民宿好きな人と言いますか、“温かさ”ってあるじゃないですか。
そこがうちの宿の、このサイズの宿でありながら、“民宿の温かさ”を大切にできたらいいなと思ってるんですね。

丸尾

確かに、ここに入って来ると、温泉街の中では立派な旅館なんですよね。だからこそ、そういうアットホームな対応を見てるとギャップがあるというか。

上塩

よく言われます。ギャップがあるって。敷居が高そうな宿に見えるのに、来たらすごくアットホームなので、すごく私との距離感も近いですし。

“女将さん”っていうのは、ご挨拶にちらっとお見えになるか、団体さんだけに挨拶に行って、個人の方には挨拶をいつもはしない、顔も知らないまま帰るということが、旅館だと思っていたけど、って言われるリピーターの方もいらっしゃいますね。

私がいる時は、いつもエプロンをしているし、お料理をお客さんにお出ししているので、できるだけ自然体に、自分の我が家にお客さんが来たら、お母さんが、ご飯作って出すのと似てる感じです(笑)
そんなふうに“おもてなし”ができたらいいなと思っています。

丸尾

なるほど。まさにそんな場面を目撃した感じでしたね。

上塩

だけど食べる物は、上質という所で、料理旅館としての立ち位置を大切にしたいと思ってるんです。

丸尾

やっぱり地元のこだわった食材とかですよね?

上塩

食材はとってもこだわっていて、特にこういう山間地を訪れていただいて、確かに山に来たのに、どこに来たのかわからないような料理を出すのではなくて、野菜をたくさん食べていただきたいということで、夕食と朝食で、野菜をそれぞれ50種類くらい使います。

丸尾

50種類?!

上塩

50種類の野菜をお出してるんです。
“気づけば野菜50種類食べてますよ”っていうような旅館です。

2まったく縁もゆかりもないこの地で、やったこともない旅館の女将に!?

丸尾

上塩さんはもともとご出身はどちらですか?

上塩

私、大阪梅田生まれで、育ちは兵庫県の川西市、芦屋などです。だから阪神間ですよね。

丸尾

そしてここ湯原に来られた、きっかけは?

上塩

父親が閉まっていた旅館を買い取ることになったんですよ。

丸尾

それは何年くらい前のことですか?

上塩

28年くらい前です。私が見た時には、ここは閉まってました。

丸尾

よみがえらせることからのスタートだったのですね。

上塩

そうです。でも私は、ここを買っても誰が運営するんだと思っていました。誰がするの?って聞いたら「いや、お前だと思ってる。」って言われて、「お前って私?(驚)」という。その時はすごくびっくりしたんですけど(笑)

丸尾

それは本当に驚きますよね!?

上塩

そんな“あほなっ”ていう話ですよね。私は旅館の子でもないし、全くそんな修行もしてないですし。本当に修行ゼロで、いきなり旅館の女将さんになりました。

3“学生時代やっていたボランティアの、キャンプリーダーのまんま女将さんしている”ってよく言われます(笑)

丸尾

その女将さんになられる前は、何をされていたのですか?

上塩

父親の不動産屋さんの事務などを手伝ってました。

丸尾

本当に全然違うことですね。

上塩

全然違うことをしていました。でも、唯一つながっていると思うことは、大学時代にキャンプリーダーをしていました。

丸尾

キャンプリーダーとはなんですか?

上塩

子供さん達をキャンプに連れていくボランティアリーダーをしていたんです。だから大学4年間はキャンプ漬けでした(笑)

春休み、夏休み、冬休みはずっと子供達をキャンプに連れて行きました。
キャンプでみんなに「はい、こっちだよー」とか、テント一緒に組んだり、バンガローで寝たり、子供達を引き連れていました。
旅館の女将になる前で、たくさん人とコミュニケーションをしたと思う唯一のことが、キャンプです。

丸尾

そうだったんですね(驚)

上塩

“キャンプリーダーのまんま女将さんしている”って(笑)よく言われます(笑)

丸尾

その辺りがルーツなんですね。

上塩

めっちゃめっちゃルーツで。そのキャンプが組織的なキャンプでした。ただのキャンプに連れていくというよりは、結構ポリシーがあるキャンプで、明日の指導者は今日つくられる!みたいな感じで、京阪神の財界の子供さんが来ていたキャンプだったんですよ。

4ロビーのソファ辺りで、うたたねぐらいになってくれたら「やった」と思います

丸尾

“リーダーシップを磨く”といったような感じのキャンプですね。

上塩

そう!そういうキャンプです。そういうキャンプのリーダーをしてたので、自分達も勉強をしなきゃいけないことも沢山あり、常に“キャパーズファースト”、要するに“カスタマーズファースト”を身に着けました。
CS(顧客満足)がそのキャンプの中で磨かれたというか、勉強しつづけた4年間でした。

子供にとったらその夏休みの最大のイベントに、自分達が連れていくことに対しての、責任感であり、彼らの思い出を良い思い出にしてあげなくてはいけない、ということを叩き込まれたんですね。それが生きているかもしれないです。

丸尾

確かに旅館でも、お客さんは、限られた時間でここに来て、時間を過ごされますよね。

上塩

それと同じことだと思います。もう喜んでもらわなければ意味のないことで、それが何で喜んでもらえるかということです。

ここを訪れて最終的に心が癒されたというか、やわらかくなったっていうことが満足感なんじゃないかって思っています。
だから、食べて“ほーっ”としたり、お風呂はいって“はーって”言って、自然と声が「はぁ〜あ」って言うじゃない?!歳いけばいくほど(笑)
私なんか家のお風呂でも「はぁ〜あ」って言ってるんですけど(笑)それがやっぱり回復というか、あーよかった。ということの繋がりじゃないのかなと思います。

いい旅館だから、“ちゃんとしなきゃ恥ずかしい”とか、“きちんと食べなきゃ”とか言うのではなくて、なんだか“家の延長線上”くらいのくつろぎを感じてくれたらと思っています。

“ありのまま”で、“アナと雪の女王”じゃないけど(笑)、ロビーのソファ辺りで、ほろ酔いかげんでうたたねしましたぐらいに、なってくれたら「やった」と思いますよね。

5私たちは“心を届けている”どれだけ心を通わせられるか。

丸尾

スタッフの方とも、そういった部分を共有していくことには、力を入れられているんですね。

上塩

本当に全員が共有できたら最高です。だから率先垂範だと思っていて、私がまずはそういう気持ちで仕事をすること、お客様との距離感を大切にし、それを伝えることで、同じように人と接することが楽しいと思える人達と仕事をしていきたいと思っています。

丸尾

来年も新卒の方が入られるようですが、その方たちも人と接することの楽しさを体感してほしいですね。

上塩

そうですね。例えばお料理出す店だったらたくさんありますよね。値段も安価なものもたくさんあります。
でも、私たちは“お料理と一緒に心を届けている”と私は思っています。それをどれだけコミュニケーションで、心を通わせられるかってことだと思うのです。

お客さんと私達の心が通った時に、初めて“ここの宿にもう一回来たいな”、“帰ってきたいな”、“この料理もう一回食べたいな”ということになるのではないかと考えています。

丸尾

素晴らしいですね。

上塩

結局どれだけ美しい言葉で、料理を出す説明はできても、違うこと言われたときに「それは私の仕事外なんで」みたいな空気になってしまうのではなく、「私、実は津山から来たんですー」とか、「まだ、一年目なんです」とか「あ、そうか。まだ一年目か。がんばりなさいよ」って言われた時に「がんばります!」って言える空気感、距離感っていうのが、やっぱり大切かなと思っています。

6本当は最初、いつになったら帰れるか?と思いました(笑)

丸尾

もともと川西市から、湯原に来られたということですが、この辺って、山の中というか、街ではないじゃないですか?その辺に感じられたギャップなどはありますか?

上塩

最初ね、私「いつになったら帰れるか?」と思いました(笑)父親がその時、まだ健在だったので、いつになったら飽きてくれるかなぁと。早く飽きたら、売ってくれるじゃないですか、不動産屋だから。
もう“売ればいいのに”って最初は本当にそう思っていました。20代の頃です。

だけど、不思議なものでね、この宿とずっと関わっている間に、やっぱり楽しくなってきたんです。少しずつ、少しずつ。

楽しいという気持ちが心の中でたい積してきて、お客様とのコミュニケーションが増えてきたりしているうちに、“ちょっとここに暮らしてもいいかなあ”と。“もうちょっと旅館がんばってみようかな”という風になってきたんだと思いますね。

7温泉街の人だけではなく、地域の人たちと接することで、移住してきて初めて価値観がフィットした

丸尾

やっぱりここ湯原に来られてよかったことは、旅館を通して人との繋がりなどが大きいですか?

上塩

私は、町づくりの会もさせていただいているのですけど、それをするようになってから、ここ湯原にずっと住もうかなって思えるようになりました。
やっぱり商売だけしていると、関わる人って限られます。
でも、その町づくりの会をするようになって、もっとたくさんの人に、出会えるようになりました。

温泉街だけの人ではなくて、色んな谷に住んでいる色んな人達の感性とか、いなかの人の本当の本音の部分とか、そういう飾らない部分に触れて、お金勘定の関係ではないところで触れたことによって、なんだかすごくあったかみとか、楽しさを覚えました。

それから街歩いていても、「上塩さんっ!あんたどこ行くんじゃ、今日は?」とか言われるようになって、「おっちゃん、今日こっち行くんよ」とか、「何しにこんなとこまで来とん?」とか声をかけられたり、それがすごく楽しくなってきたんです。

それまで、お商売をしている八景の女将としての私は、一生懸命やってきたけど、私がお仕事なくなったら、もしくは、リタイアしたら、関西に帰るっていう手もありやなっていう風に思っていました。

だけど町づくりに関わっていくうちに、仕事がなくなっても楽しいんちゃう?けっこうこのおばちゃんら、みんな仲間とわいわいしているうちに、ええ歳重ねられるんじゃないかな?と思えるようになりました。

移住してきたことが、初めて価値観がすごくフィットしたというか、だからすごく今いい感じだなと思っています。

実は、はじめはここに暮らしてることが最初は恥ずかしかった自分もいたんですよね。なんか私、田舎者になっちゃった的な。それから一つ乗り越えて、仕事が楽しいからいられる、仕事があるから、湯原温泉もっと売っていこうっていう仕事モードの私。そして、ここで暮らす私、という階段を一歩づつ、一歩づつあがってきているんではないかと思います。

8岡山の全く縁のなかった所にいるのも不思議。そのご縁を逆に大切に思ったら何かが変わった。

丸尾

最近は、クラウドファンディングでこの地域自体を盛り上げる活動もされていますよね。あの活動も本当に色んな人と関わって、協力をして、初めて動くものだと思います。

※FAAVO岡山でクラウドファンディングにチャレンジ。
『温泉旅館女将の挑戦!!湯原特産の青大豆カレーで湯原温泉を盛り上げたい!!』

上塩

人は、みんな“お役”をもって産まれてきていると思います。なんで関西で産まれた私がこの岡山の全く縁のなかった所にいるのかも不思議です。

その不思議なことを、なんか嫌だ嫌だって拒むよりも、そのご縁を逆に大切に思ったら、ここでお役に立てることがあるなら、がんばってみようかなと考えるようになりました。

だから旅館の仕事以外のお役がけっこう増えてきたんです。今は「上塩さん、ちょっと教えて」とか、「上塩さん、ちょっと協力して」と言われたら、“はい”って素直に、やれることは何でもやってみようかなと思っています。本当に楽しいです。

丸尾

上塩さんは、見ているとすごく楽しそうに見えます。

上塩

そうですか(笑)考え方一つかなとも思って、何をするにも、女将をするのであっても、楽しくやったほうがいいじゃないですか?
お涙ちょうだいみたいな悲しい女将じゃなくて、楽しそうにやっているほうがいいのかなと(笑)だってハッピーな商売でしょ!旅館って。

丸尾

それでは、最後になるんですけど。上塩さんが、この旅館の女将さんとして、もしくはこの地域で活動をされることを通して、普段から大切にされていることはありますか?

上塩

私は、“素であること”を大切にしています。あそこで会った上塩さんと、ここで会った上塩さん違うって言われるの嫌だなと思っています。
どんな人と会う時も、自分は素のままでいたいなと思って、お相手がどんなに世間で言うお役職の高い、地位の高い人であろうが、子供さんであろうが、同じでありたいと思っています。
そういう自分を受け入れてくれる方々と付き合っていくことが大切なのかなと思っています。そういうスタンスを決めるとすごく楽で、なんか変な気遣いもいらないですしね(笑)
“素であること”ですね。それをとても大事にしています。

丸尾

お話を聞かせていただきありがとうございました。もともと縁もゆかりもない湯原に移住してきてから、少しずつ、ここが自分の場所になっていった。岡山県北が故郷の私にとっても、とても感銘を受けるお話でした。上塩さんは大阪府出身で、兵庫県から湯原にIターンのかえーる人でした。

“いつも素のじぶんでいること。誰に対してもそのまんまでいること”

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諸国露天風呂番付で西の横綱に押された、河原の露天風呂「砂湯」の真ん前に位置する温泉旅館。山あいのよさを大切にした館内のしつらえと、50種の地野菜を使った山里料理。素朴なおもてなしを大切に。中国道経由米子道湯原インターより10分。

岡山県真庭市豊栄1572
http://www.hakkei-yubara.jp/

 

取材日:2014年12月12日
撮影地:湯原温泉八景

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