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2016年12月20日 更新

職人として、価値を生み出す楽しさを感じてもらえるように。

有限会社内田縫製 代表取締役 内田政行

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岡山県にある、 有限会社内田縫製 代表取締役 内田政行さんに、お話を聞いてきました。

1私たちはジーンズを作っています。

丸尾

内田縫製は、今は主にどういったことをやられていますか。

内田

今は、ジーンズのOEM生産を行っています。
お客さまから、生地、デザインなどを全て支給していただいて、この生地で、このデザインで何着、いつまでに作って欲しいと言われて作る、いわゆる下請けの工場です。

丸尾

元々会社の成り立ちはどういったかたちで会社を設立されたのですか。

内田

最初は、父である先代が始めた会社です。会社にしてからは35年くらいですがはじめたのは40年以上前ですから、僕の小さな頃からやっていました。

丸尾

その頃も縫製工場ということで、やっていることは同じだったのでしょうか。

内田

同じでした。やはりジーンズを作っていましたね。その頃はメインで「NBブランド」ナショナルブランド、つまり日本のメーカーのブランドで、LEVISなどではなく岡山の児島にあるBOBSONだとかBIG JOHNなどの下請け工場でした。
現在はアーバンリサーチ、ジャーナルスタンダード、ユナイテッドアローズ、桃太郎ジーンズなどの一流ブランド、有名セレクトショップなどの依頼をうけています。

2今の若い人は、縫製離れというのか・・・

丸尾

ここは那岐山がすごく近くて、自然に囲まれた地域ですよね。内田さんはここで育ったのですよね。

内田

自然だらけですね(笑)。あと、うちが長くやってこれたのは、もともとスタッフが近所の「おばちゃん」ばかりだったんですよ。他の工場はいろんなところから、スタッフが集まっていて、景気のいい時は問題ないのですが、悪い時には休んでもらったりだとか、逆に忙しい時には残業してもらったりだとか、いろんな「波」があるのです。
だけどその「波」に、うちが耐えていけたのは、やはり近所のおばちゃんだったからだと思っています。近所のスタッフだったから「ええよ、ええよ。忙しい時には頑張るし、ヒマな時には休むし。」といった感じでやってくれて、そのおかげで他が廃業していく中、うちが今まで残ってこれたのだと思うのです。

丸尾

なるほど。全国的には「縫製工場」というのは減ってきているんでしょうか?

内田

減ってきています。

丸尾

それでも35年40年と残ってきているというのは、景気の波もあり、ビジネスモデル的なところでも変化に対応していかないと続けられない時間ですよね。そういったところでも対応していけたのは、やはり地元の人と一緒に働いていたからですかね。

内田

本当に地元の方達のおかげですね。僕のおしめを変えてくれたような「おばちゃん」ばっかりでしたからね(笑)

丸尾

単純に「従業員」と「経営者」という関係ではないですね。

内田

そうですね。未だに、70代、80代のおばあちゃんが集まって“内田縫製OB会”として、多い時には10数人集まってくれていますよ。

でも、今は一変していて、海外の方が9人いたり、遠くから通ってくれているスタッフもいます。

丸尾

海外の方とはどちらの国の方ですか。

内田

中国ですね。国の実習制度を利用して来てもらっています。

丸尾

何歳くらいの方々ですか。

内田

10年くらい前は実習生の方も、20歳から30代前半の方が多かったのですが、今は40歳から45歳くらいまでになっていますね。日本と同じで、縫製離れというのか、中国の方もやっぱり若い人は縫製の仕事に、あまりつかないみたいです。

丸尾

日本の若い方もあまり縫製工場では働かないというのは、なぜなんでしょう。

内田

地域的なこともあるのかもしれないですね。児島のあたりでは「ジーンズの町」ということもあって、学校や専門学校にも「ジーンズ科」があったりして、そこで勉強してメーカーさんや工場に務めたりもしていますが、津山周辺ではそういうのはありませんから。

丸尾

人件費というのは、やはり日本人の方は高かったりするのですか?

内田

いえ、今は中国の実習生を雇う方が高いです。
それは給料形態というより加入している組合への組合費などがかかるからです。実習生の方たちは、保険などにも加入していて日本人の方と同じ給与体系です。イメージで外国の方に安い人件費で働いてもらっているように思われているのですが、日本人と同等か、むしろ高いくらいなのです。

3ここ20年、一度も納期遅れはありません。

丸尾

一流のジーンズメーカーからの仕事をされているということで、「工場」は信頼を勝ち得るものだと思うのですが、工場や生産体制へのこだわりや継続してこられたようなことはありますか?

内田

お客様に一番に気に入ってもらえるのは、品質ももちろんなのですが、やっぱり「納期」なんですよ。「納期」はとても大切なもので、例えば新商品や新店舗ができる時に、広告をうっていますから、その時にその商品が無いわけにはいかないんです。新規のお客さんに「うちは納期は遅れません。今までここ20年、一度も納期遅れはありません。」というと皆様びっくりされますね。

丸尾

20年間納期を守り続けているのはすごいですね。他にも物を作るうえでのこだわりはありますか。

内田

やはり、販売価格の高い商品が多いので、1万円以下の商品はうちでは作っていないんです。ほとんどが2万円から3万円、高いもので4万円から5万円するものなので、当然「検品」も厳しいのです。
納品する前に「納前(納品前検品)」といって商品を見られるのですが、40年の経験上、出してもダメな商品は出さないようにしています。

丸尾

有名なアパレルブランドですからね。先ほどお聞きした以外の、ブランドの商品も作られていますか?

内田

そうですね・・ほかにもJapan Blue Jeans、Ordinary fitsや、最近ではレディースでCLANEなどもです。

丸尾

実際、内田縫製さんで加工されるのはどの工程になりますか?

内田

うちには50m、100m巻の原反のままで、生地が入ってきます。それがここから出荷する時にはジーンズの形になって出て行きます。ただ洗いはしていないので、洗いのあるジーンズについては指定の加工工場へ納入し、そこでダメージ加工などを施すようになります。

4職場に穿いていける「オリジナルジーンズ」

丸尾

これから作っていかれる内田縫製の「オリジナルジーンズ」、地元の津山ジーンズを作られるきっかけというのはあったのですか?

内田

実はずっと思っていました。作り手としても、利益の面でも直接消費者に届けるのが一番いいわけです。ただ、日々の業務の中で、毎日数百本、最盛期には1日1,000本以上ものジーンズを作っていたのですが「本当にこんなに売れているのか?」とも思っていて、うちがオリジナルでジーンズを作ったところで売れないだろうと二の足を踏んでいました。そんな中で今回、つやま産業支援センターの強い後押しを受けて、面白いかな、やってみてもいいかな、と思いました。

丸尾

いきなり自分たちのジーンズを作ろうとしても、マーケティングやデザインなど、指示のもとでやるのではなく、自分たちがどう見せたいかを考えていかないといけないので、面白いことでもありますが、難しいことでもありますよね。

内田

40年ずっとやってきましたから、作るのには自信はあります。だけど「デザイン性」などが難しいですね。今回のオリジナルジーンズは、オーソドックスで流行り廃りのない、10年穿けるものとして、パターンをひいています。

丸尾

このジーンズは、どういった方に穿いていただきたいと思っていますか。

内田

今回2種類作ります。一つはカジュアルに穿いていただき、あともう一つは「ビジネスジーンズ」として、仕事の時に穿いてただきたいと思っています。例えばオフィスでの仕事や、出かけて行ってお客様との商談でも大丈夫だし、そのあとプライベートでレストランに行っても大丈夫なような、ずっと履けれるものにしています。シルエットはカジュアルと同じなのですが、生地の色を抑えたり、ステッチを目立たなくしていたり、パッチも黒っぽくして、ワイシャツを着てネクタイを締めて、ジャケットを着ればどこへでもいける、ビジネスに使えるものにしています。

丸尾

今までは一般的には、職場でジーンズを穿くのはNGな感じがありましたよね。

内田

うちに来られる営業マンの方が、スーツの上着は幾つかあるけど、パンツがすぐ傷んで困っていて、このジャケットにあうパンツがあればとおっしゃっていました。ただ、普通のジーンズを履くとなるとダメージ加工の穴が空いていたり、股上も浅いし、さすがにダメだということで、それならステッチなども目立たなくして、あまり目立つ加工のないものであれば良いのではないかと考えました。

5専用ミシンにより、自社ですべての工程が可能。

丸尾

工場にたくさんの種類のミシンがありますが、ミシンの並び方などは、そのような仕組みなのですか?

内田

商品によって並べ替えたりもするのですが、今はほとんどデニムパンツに適した並びになっています。大きく分けるとパンツは前身を作って、後ろ身を作って、それらを合わせた後、帯を付けたり裾を縫ったりします。それから「特殊」といって、ループやリベットを付けたりしてから、検針して出荷するようになるんです。

丸尾

では、ミシンはそれぞれ違う機能があるんですね。

内田

そうです。違います、ぜんぶ専用の機械です。だからコンベアこそないですが、本当に流れ作業になっています。うちが納期に遅れないのは、全部自社でできるからなんです。

普通は穴を開けたり、ボタンを打ったりというのは専業でしている工場があって、そこに依頼しているんです。それらはそれぞれ「特殊」なミシンが必要なのですが、特殊なミシンはとてもコストが高いのです。だから普通はそのミシンを入れずに専用工場に1個5円、10円みたいな形で依頼するようになるんです。ただ、それだと納期が読めない。

たくさん仕事を持っているところに持ち込んでも後回し、後回しになってしまいます。それがうちだと全部機械が揃っているので、すぐ必要な時に作業ができる。だから納期に遅れないということなのです。

例えば「玉縁」ポケットを作る機械があるのですが、1台数百万もするのですが、他の場所を縫ったりはできずそれだけしかできないんです。ただ、これを手でするとなるととても手がかかるので、中国からきた人はこのミシンを持って帰りたいと言いますね(笑)

丸尾

やっぱり発注する側からすれば、内田縫製にお願いするメリットがあるのですね。納期が読めないのは、とても危険ですよね。

内田

新規のお客様が工場の見学に来た時に、「動画を撮ってもいいですか」と聞かれるのですが、一箇所の工場でこんなにたくさん撮れたことない、とても勉強になりましたと言って帰られます。「玉縁ポケット」のミシンを初めて見たという方もいらっしゃいます。

6スタッフ全員が「職人」に。

丸尾

これから自分たちのジーンズを作ったり、日本全国のアパレルメーカーから依頼を受けてジーンズを作っていくにあたって、さらにチャレンジしていきたいことはありますか。

内田

オリジナルジーンズで自分たちならではの価値も作っていきながら、日本のアパレル産業を支える工場として稼働していきたいと思っています。本来、営業に行っても断られることが多いようですが、うちの場合は、ありがたいことに新規の有名なお客様の方からお話をいただいて、来ていただいてお仕事をいただいています。

丸尾

日本全体では減少しているような「縫製工場業界」で、ずっと求められる工場であるというのは、本当にスゴイことです。最後に内田社長の「好きな言葉」はありますか。

内田

やっぱり一番大切なのは「人」だということです。営業マンや生産の方、若い人やベテランの方などいろんな方が見えるのですが、新しいことに取り組んでいくときには「担当者」が大切だと思います。金額のこともあるのですがやっぱり「担当者」ですね。それから相手に代わってもらいたいと思うよりは、まずは「自分が変わる」ことを心がけています。

丸尾

ものづくりをしていて、機械のこともありますが、やっぱり「人」だということですね。

内田

そうですね「人」ですね。いくら腕に自信のある人でも、やはり「人」が良くないとダメなんですよね。

丸尾

そう考えると、今チャレンジしていることでも、今までとは違う外の「人」との関わりも大切ですね。

内田

今は、いろんな人と知り合えて名刺入れがあっという間に埋まっていくような感じです。出会いがすごく多くて「ここをこうしたほうがいいんじゃない」といろんな人から意見がもらえています。

丸尾

スタッフ人材育成については何か考えていらっしゃいますか。

内田

スタッフのみんなに「職人」になってもらおうと思っています。今は、流れ作業なのですが、5年かかるか10年かかるかわかりませんが、みんなジーンズを一人で一本作れるようにしていきたいと思っています。
なかなか縫製会社に何十年も勤めてもジーンズ一本を縫えない人が多いんです。どうしても上手に縫える工程をずっとしてもらうようになってしまうので、一本縫えるようになるのが難しいんです。

丸尾

仕事としてはその方が面白くなりますよね。

内田

そうですね、つくり手としてもモチベーションが上がりますよね。
ただいきなりそうしてしまうと全体の生産性が落ちてしまうので、徐々に長い目で見てやっていこうと、みんなで取り組んでいるところなんです。
難しいし、時間がかかることですけど、みんなが価値を生み出す楽しさを感じてもらえるようにしていきたいと思います。それで若い方たちにも縫製の面白さを知ってもらいたいですよね!

“職人として、価値を生み出す楽しさを感じてもらえるように。”

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那岐山がどっしりと構える山懐の、周りといえば自然だらけのこの旧勝北町に、先代の社長が縫製工場を立ち上げ40年。Made in Japanの「ものづくりの魂」を込めて、ジーンズ業界をはじめ、日本のアパレル産業全体を支えていきたいと思っています。

岡山県津山市新野山形450
https://uchida-factory.co.jp/

お話を聞かせていただきありがとうございました。まさによく目にするブランドのジーンズがここ津山でつくられていることに驚き、そして嬉しくなりました。そして将来的にはスタッフが職人として全工程を手掛けることができ、モノづくりの楽しさを感じてもらえるようにと言われたこと。20年間納期遅れなし、そして品質にこだわりつづけ、そして作り手のやりがいをつくっていく姿勢にとても感銘を受けました。

取材日:2016年7月25日
撮影地:有限会社内田縫製

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