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160人の里山で仕掛ける!

NPO法人英田上山棚田団  

梅谷真慈

美作市

岡山県にある、NPO法人英田上山棚田団 梅谷真慈 - 岡山県北の求人情報サイト「いーなかえーる」さんに、お話を聞いてきました。

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1里山整備、農業、狩猟など・・・。

丸尾

梅谷さんは、ここ美作市上山地区で暮らしながら働いていらっしゃるんですが、普段は主にどういったことをされていますか?

梅谷

普段は棚田の再生活動がメインです。4月中盤から後半、10月末、11月ぐらいまではお米づくりで忙しくしている状況ですね。冬に入ると“林業”とまではいきませんが、里山整備レベルで作業を行っています。それから原木シイタケも本格的に生産し始めています。それも1人ではなく、チームでやっているところです。

また、里山整備をしながら、“猟師”というにはほど遠いですが、年に数頭はシカとかイノシシをつかまえたりと狩猟もしながら、ここでどうやったら面白い生活ができるのかを考えて暮らしています。

丸尾

シカやイノシシをとるってすごいですね。罠ですか?

梅谷

くくり罠です。でも、これから「檻罠(おりわな)」というのも設置してやっていこうかなと思っています。でもまだまだ新米猟師で年間数頭しか捕獲できていないのですが、狩猟は続けていきたいことです。

丸尾

狩猟のやり方とか農作物の育て方、田舎のマナーというのは、どういう方法で習得されているのですか?

梅谷

そうですね。まず自分でなるべく勉強しています。そして足りないところは、地元の方にお聞きしながら取り組んでいます。それを一緒にやっているメンバーも移住者ばかりなので、移住者ばかりで情報をシェア(共有)しています。

「次は何しようか?」とか、「こういう作物の育て方がいいんじゃないか?」とか、「シカのローストがおいしいよ」とか(笑)。そういうのも随時情報をシェアしながらより良い情報がないか探しながらやっている感じですね。

ただ、各自プロジェクトごとにリーダーというのは必要なので、それは年齢とか世代とか関係なく、やりたいと思った人がそれぞれに仕切ってもらってやっていくような形で、みんなそれぞれプロジェクトを進めていますね。

美作市上山の棚田

2田んぼ再生による、植生豊かで生産的な場所づくり。

丸尾

先ほど言われたシイタケなどのほかに、どんなものを育てていますか?

梅谷

お米とシイタケが本格的に始まろうとしているところです。シイタケ栽培については、地元のおじいちゃんに聞けることなので、この地域での大きな稼ぎですね。僕がシイタケ栽培について教えてもらっているのは、今7、80歳代の方でそれを生業(なりわい)にしてきた方々です。

あとは、ニンニクをつくり始めていて、今5,000個できました。まだまだ少ないですが、安定的に形や大きさに満足のいくように栽培できるようになれば増産していきまず。

他にも、専門で野草をとっているメンバーがいます。ヨモギなど、食べたら元気になったり、栄養価が高かったり、ミネラルを補給できたり、身体に良い効果があったりというのを専門にやっているメンバーがいます。

「耕作放棄」と言いますが、田んぼが放棄されて30年、40年たっていると、笹とか竹とか植生が貧弱になってくるんです。それがまた田んぼを再生してお米をつくるために、畦(あぜ)を草刈して管理して、田んぼとしてちゃんと管理することによって、またヨモギ、レンゲ、ハハコグサなど、いろいろな野草が生えてくるようになります。その中には身体に良い効果のある雑草も生えてくるんです。

耕作放棄時には植生が数種類しか目立たなかったものが、再生し田んぼになると、数十種類から数百種類ぐらいの植生豊かな生産的な場所に変わってくるわけです。そういうことに価値があることを都会の人などにご理解いただき、尚且つ楽しんでいただける地域にしていきたいです。高校時代からもともと興味のあることなので、僕も環境や農業のことを勉強しつつ一緒にやっています。

丸尾

身体に良い雑草と言えば、どんなものがあるのでしょうか?

梅谷

例えば、ヨモギの新芽を毎日5個から10個食べれば骨粗しょう症が改善されていくという効果があると言われています。ヨモギが活用できて、薬をそんなにたくさん飲まなくても、身の回りのものを管理しながら食べることによって体が健康になれば、めっちゃいいじゃないですか。

丸尾

そうですね。めっちゃいいですね。

梅谷

健康だし、お金も薬代もかからないし。そういうことをチャレンジしている仲間もいます。

32007年から始まった英田上山棚田団の活動。

丸尾

ここ上山での活動はどのような感じで始まったのでしょう。

梅谷

そうですね。僕も移住してきている者なんですけど、棚田団の活動が2007年から始まって、それが週末里山生活みたいな感じで、大阪のメンバーは足しげく月2回通いながら、地元の人たちの水路掃除とか草刈りをお手伝いするところから始まりました。

その後、「じゃ、お前らそんな草刈りと水路掃除ばっかりじゃ、おもんねえじゃろう」みたいな(笑)。「お米やってみるか?」というところで始まったのが初め3畝の田んぼです。それから、300平米だった田んぼが、今は4万平米ぐらいやっているので、かなり増えてきたなあという感じです。

それを英田上山棚田団の仲間でやっています。移住してから何かしようと考えるメンバーもいますし、都会で働きながらも、やりたいことがあって移住してくるメンバーもいますね。もちろん、週末里山生活が好きな人も大歓迎です(笑)。

4160人の里山、移住者は20人以上。

丸尾

ここ上山集楽に、移住者の方はどれくらいいらっしゃるのですか?

梅谷

おじいちゃんたちがメインの美作市上山の人口は、ここ5年で170人ぐらいから160人ぐらいに推移しているんですよね。その中で移住者が2010年から25人以上増えています(笑)。

丸尾

すごい比率ですね。

梅谷

わっとたくさん来る年もあるし、全く移住者がいなかった年もあったりしますから、平均すると一年当たり2、3人ずつくらいは増えてきていますね。

丸尾

英田上山棚田団のメンバーというのは、外から来られた方だけではなく、地元の方もなんらかの形で入られていたりするのですか?

梅谷

そうですね。地元の方にも理事や幹事で入っていただいています。日常の中で会話したり、農作業について教えてもらったりというのは、すごく協力していただいていますね。

リノベーション前の空き家の様子
リノベーション前の空き家の様子
約40年の空き家を梅谷さん自らがリノベ―ションした。

5普通に就職の道もあったが、たどり着いたのが上山 (笑) 。

丸尾

梅谷さんが岡山県美作市の上山に来られたのというのは、いつ頃ですか?

梅谷

僕が初めて来たのは2010年の4月ぐらいですね。大学院の1年生ぐらいのときです。生まれは奈良で、岡山県には大学進学で来ました。

丸尾

学部は農学部だったんですか?

梅谷

岡山大学に環境理工学部ってあるんですけど、ご存じですか?

丸尾

ごめんなさい・・・(笑)。

梅谷

そうなんですよ。あまり知られていないのですよ(笑)。
農学部から派生した学部で、専門分野でいうと農業土木などを専攻する分野です。
役場などの農業課や土木課に入られる先輩方も多いんですけど、環境とか農業のことを勉強する学部になるんですよね。

丸尾

耕作放棄地の管理などについては、強いて言うなら本職というか、もともと勉強されていたことでもあるのですね。

梅谷

習って勉強したことですね。でも、耳にタコができるほど聞くんですけど、実際どうやって問題を解消して管理するかまでは大学では習った記憶があまり残っていないです、勉強しながら気になっていました。

いざ働くとなり、就職活動もしましたけど、何かこのままサラリーマンになるのもな・・・とか、いろいろ考えました。そういう感じではない働き方もあるのではないかと。途上国へ旅したり、ツアーを企画したり、それらを大学の中で2、3回繰り返しているうちに、日本の農山村にも出かけるようになって、たまたま出会ったのが英田上山棚田団でした。

“本当に自分がやりたいこと”を仕事にできる、しかもそれが“誰と”できるというところも考えると、ここ上山という場所でチャレンジしてみたら面白いと思いました。上山にはある種たどり着いたところです(笑)。

6里山をただ維持するだけではなく、活用していくこと。

丸尾

最近は農産物をつくられたりなど、どんどん生産的になっていますね。

梅谷

昔の人が「当たり前」にやっていたことを「当たり前」にできたら面白いのかなと思っています。ただ別に仙人になりたいわけじゃなくて(笑)、写真を撮ったり、iPadで情報発信したり、ネットが使える今の生活も必要です。

大学の頃に、“持続可能な生活”とか、“持続可能な社会”っていう言葉を、本当にたくさん聞くんですよ。ただそれが、「どこができているの?」 とすごく疑問に思ったんですよね。

個人の家庭なら多分オフグリッドハウスとかで、何か循環型で暮らすことはできるのですが、では地域や村のようにまとまった単位でそういったことができているところはなかなかないのかなと。そして、途上国も一緒なんですよ。そういうのもまとめて解決できるというか、何か面白くチャレンジできたらいいのかなと思っています。

それがこの里山を維持していくことにつながっていく。そして、活用することは全然違うことなので、今までの維持の方法だけじゃなく、プラス活用のところというのが、何か新しく面白いところなのかなと思っていますね。

丸尾

6年前来たばかりと今って、地域に対する感覚は違いますか?

梅谷

もう全然違いますね。やればやるほど、ここから離れられなくなるなと思いますし、やればやるほど、おじいちゃんたちと一緒に農作業とか、教えてもらえることがめっちゃ有難い時間だなと思います。本当、全然違います。

7160人の里山で仕掛けるということ。

丸尾

もともと奈良県がご出身で、海外も知りつつ、いろんな地域も見てきつつで、上山と他の地域と違うところはありますか?

梅谷

突き抜けたら、どこも本当に一緒かなと思いますよね。でも、ここがちょっと違うなと思うのは、ほかの地域が手掛けているところよりも、もうちょっと小さい範囲ですよね。160人の村でチャレンジを仕掛けているので(笑)。

丸尾

規模がさらに小さいですね。

梅谷

それぐらい小さな範囲の方が、村がまとまってチャレンジしやすいのかなと思ったりもするんですよね。そして、取り巻く周辺の英田地域というところが2,500人から3,000人いかないぐらいの規模です。

モビリティや福祉の観点では上山だけではなく旧英田町ぐらいの範囲へ事業を広げることも必要だよねという段階にも来ています。ですので例えば福祉の面でも英田という範囲で良いサービスが連携することにより展開できないかなというのも他のメンバーが考えています。

でもそれは160人の村で、この10年間ひたすらチャレンジし続けている過程でわかってくることなんですよね。そのあたりはすごいと思いますし、ほかのところとはちょっと違うのかなと思いますね。それに至る過程でも、誰と働くかというのここ上山なら面白そうかなと思ったんですよ。

大阪から週末里山生活みたいな形で通っているメンバーもいますし、会社でも第一線でバリバリ働かれている方々が移り住んできて、何か仕掛けようとされていたりします。そういう環境って刺激的じゃないですか(笑)。

8魅力的な場所だと思ってもらえる価値をつくりたい。

丸尾

梅谷さんがこれから、さらにやっていきたいことはありますか?

梅谷

僕もここに6年いて、ちゃんとここで暮らせる自信はできてきたんです。その上で、上山の昔の人たちが当たり前のようにやってきたことをちゃんと真似できるようになり、価値に変えていけたらと思います。

それが金銭的価値というのももちろんですし、都会の人や、海外からの人に対して、ここ美作~英田~上山が面白い場所なんだな、魅力的な場所なんだなと思ってもらえる価値をつくっていきたいです。それが例えばコムス(※)を使ったツアーであったり、レンタルで楽しんでいただくことができます。

僕自身、以前ネパールへ学生時代に3回ほど行って気づかせてもらったことがあります。
田舎で自給的な暮らしだけではなく、プラス生産的に若者が暮らせることができたら、本当に良いのではないかと。将来、そういった途上国でも同じことができたら面白いのかなと思ったりします。

この里山地域には代々20代以上続いている家もあります。本当にすごいことだなと思います。400年とか500年をずっとこの里山で暮らし続けておられます。100~200年以上前からある棚田の石垣も、活用させてもらえるというのは、本当にありがたいことです。

そういった方たちの知恵を、ちゃんと引き継ぐことができる期間というのが、あと5年から10年ぐらいかなと思っています。引き継ぎながらここの未来をつくっていけたら面白いと思っていますね。

※コムス トヨタ車体が開発した、1人乗りの超小型電気自動車。

9ちゃんと話す。伝わるように。

丸尾

最後にお聞きしますが、日ごろから大切にされていることはありますか?

梅谷

大切にしているのは、「ちゃんと話す」ということです。本当にいろんなジャンルの人たちも訪ねてきてくれるので、わかりやすくちゃんと話ができないと、ここを好きになってもらえない、理解してもらえないですし、地域のおじいちゃんたちにも僕を理解していただけないです。

おじいちゃんたちにはちょっと方言を入れながら、「ええが」とか「何じゃ、何じゃ」とか言いながら。言わんと伝わりにくいですし、その人に合わせてちゃんと話すということをもっとできたらなと思いますね。

丸尾

話すことって、実は難しいですよね。

梅谷

めちゃめちゃ難しいなと思います。ちゃんと話す、ちゃんと伝えるというということが本当にどれだけ丁寧にできるのかをすごく考えながら、いつも仕事であったり、いろんな人と話ができるようにしたいです。

160人の里山で仕掛ける!

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岡山県美作市上山地区の棚田の再生をはじめとする農林業の振興。
自然エネルギーの活用や水資源の確保による里山の環境の保全。
地元の資源を活用した 農林業体験やツリーイング、古民家を利用したカフェや民宿、陶芸などの各種ワークショップ、棚田を使ったコンサートなどのイベントの開催など新しいコンテンツの提供。
これらの事業に農山村と都市部の人々を結びつけることで地域の活性化を図る。
また、上山での成功事例を出版物やTwitter、Facebookなどのウェブツールで積極的に情報発信し、同様の問題に取組んでいる他の地域とも連携していくことで、日本の農山村の明るい未来を切り開くことを目的としている。

お話を聞かせていただきありがとうございました。伺がって早々、ヨモギの新芽を食べてみてくださいと渡されたのは新鮮でした(笑)。とても小規模な里山において「単に維持するだけではなく、いかにプラス生産的に価値を生みながら暮らしていけるか」を日々追及されている梅谷さんからお聞きした、英田上山棚田団の方々の活動のお話にとても感銘を受けました。梅谷さんは、奈良からIターンのかえーる人でした。

  • 取材日:2017年4月28日
  • 撮影地:美作市上山の千枚田
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