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ほっとする味、場所をめざして。野菜たっぷりのやさしいごはんを提供する家庭食堂。

岡山県北の食

家庭食堂ROOF

目次

 

食と人を愛する栄養士が営む「家庭食堂ROOF」

 

食事は、私たちが生きていくために欠かせない習慣です。そして同時に、日々の生活に彩りを加えてくれる人生の楽しみでもありますよね。

 

しかし生きるため、楽しむためという食事の目的をどちらも達成するのは難しいもの。

 

体のためを思うと食事を用意すること、食べることそのものがおっくうになってしまったり、逆に楽しみを優先し過ぎると栄養バランスが偏り体に悪影響が出ることも。

 

そこで今回は、食事に対してさまざまなこだわりや事情を持つ人を含め、どんな人にも寄り添った食卓になることをモットーに営業する食堂にお邪魔してきました。

 

 

ROOFは津山市内の主要道路のひとつ、鶴山通り沿いにある。「屋根」という店名は、お店をもうひとつの家だと思ってほしいという国貞さんの願いから

 

 

お店の名前は「家庭食堂 ROOF(ルーフ)」。

周囲から「ルーフさん」と親しまれるご店主の国貞美幸(くにさだ みゆき)さんに、食や自らが作るお料理への想い、今後の展望などをお伺いします。

個々人に合う食事を提供する夢を叶えるため、開いたお店

 

割烹着を着て調理場に立ち、お料理について説明してくれる国貞さん

 

― まずは国貞さんがご自身のお店を持たれた経緯について、簡単に教えてください。

国貞さん:もともと私は計10年くらい、高齢者向けの施設等で栄養士として勤めていたんです。でも、たくさんの利用者さんたちの食事をまとめて準備する施設では、一人ひとりの利用者さんに合った食事を用意するのがどうしても難しくて。施設の利用者さんにとっては食事が唯一かつ一番の楽しみだったりもするので、それを個々人にとってベストな状態でお出しできないことを、段々もどかしく感じるようになっていったんです。例えば材料の切り方にしても「あの利用者さんには、もう少し小さく切った方がいいのにな」とか、味や食感の付け方に対しても思うところが出てきたり。そこでフリーランスの栄養士になると決めて、2019年にはお店を持つことができました。

 

― 念願の開業後、お店にはどんなお客さんが来られているのでしょうか?

国貞さん:開業当初は、近隣にお住まいのおじいちゃん・おばあちゃんがメインのお客様でしたね。この場所がもともと喫茶店の居抜き物件だったこともあって、喫茶店のお客様だった方がまず様子見で来てくださったりとか。私は開業にあたり高齢者の方が集まれる、居場所にできるようなお店を作りたいと考えていたので、これは狙い通りでした。しかし2020年以降はコロナ禍となり、お店に集まっていただくことが難しくなってしまって。

 

ROOF店内の様子。密を避けるため、いまはカウンターとテーブルの計6席で営業している

 

 

店内の絵画は津山市出身のアーティスト神楽谷さんの手によるもの。飾る絵画は季節によって変わるという

 

ランチを食べに来ていただく機会も減ったので、代わりにお弁当やオードブルなど、テイクアウト商品の予約販売に力を入れ始めたんです。そしたら、客層がかなり変わってきました。小さいお子さんのいるお母さんたちに利用していただく機会が増えて、口コミが広がったみたいで。段々とご注文をいただくことも増えてきて、お客様の年齢層も若くなりました。近隣にお勤めで毎日ランチに来てくださる方もいて、「うちでランチを取るようになってから健康診断の結果が良くなった」と報告してくださったこともありましたね(笑)。

 

― 想定外のコロナ禍が、新しいお客様にお店を知っていただく機会になったのですね。

国貞さん:そうですね。コロナで飲食業界全体が苦境になったのをきっかけに、周囲の飲食店が自主的に組んでキャンペーンをしたり、産業支援センター主催の「津山支縁プロジェクト」に加えていただいたりして、お店が取り上げられる機会も増えましたから。思っていたのとは違うかたちですが、コロナ禍になってから結果的に注文・売上ともに増えたのは事実なので、ありがたいことだなと思います。

 

野菜をたっぷり使った料理は、どれもやさしい味

 

 

遠目にも彩の良さが際立つROOFの料理。ごはんはプチプチ、もっちり食感の七分づき

 

 

― 今日はお弁当とランチ用の定食をご用意いただきました。色合いがとてもきれいですね!

国貞さん:ありがとうございます。一般的に外食と言えば「味が濃い」「脂っこい」「ジャンキー」というイメージも強いかと思いますが、 うちのお料理は体も心もほっとするような、やさしい味付けを心がけているんです。野菜もうちの畑で採れたものを中心に、できるだけたくさんの種類を使うようにして。あとは栄養と、甘みや辛み、酸味など味のバランスにも気を付けています。うちは家庭食堂なのであくまで家庭の食卓の延長のような場所でありたいんですけど、家庭でいろいろな味のおかずを作るのはものすごく大変じゃないですか。だから、いろいろな味付けの野菜のおかずをたくさん用意して、楽しく食べてもらえたらいいなと思って。

 

 

700円のお弁当は昼も夜もテイクアウト可。この日のメインは鶏の照り焼きだった

※お弁当の購入には、受け取りの数十分前までの予約がおすすめ。

 

 

イートインでいただける日替わり定食は800円。この日のメインは豚肉の炒め物だったが、他にアジフライやから揚げをメインとした定食メニューもある

 

 

― これだけの品数を家庭で毎日作るのは、確かにかなり難しいですね。参考までに、日々どうやって献立を考えているのか教えていただけませんか?

国貞さん:その日のフィーリングです(笑)。私ね、よほどの大量注文とかでない限り、前日の仕込みってしないんですよ。その日の朝に採れた野菜の種類とか、買い物に行ったときに安かったものとかを見ておかずを決めています。だからどうしても、そのときに旬を迎える野菜のおかずが多くなっちゃって。今日のおかずはじゃがいも、にんじん、きゅうりが家庭菜園で採れたものなんですけど、時期によって採れるものも偏るので、同じようなおかずが続いちゃったりするんですよね。毎日ランチをしに来てくれるお客様もいらっしゃるので、何日も同じ野菜が続くのも申し訳なくて。ちょっとした悩みの種になってます(笑)。

 

 

ROOFの料理に使われる野菜たち。上記のうちレタス以外が国貞さんの家庭菜園産だそう

 

病で食事に苦しみ、より強くなった食への想い

ROOFの定番品だと言うひじき煮。甘味とだしの味、野菜の食感がおいしい

 

 

― 国貞さんのお料理の原点はどこにあるのでしょう。子供の頃から料理がお好きでしたか?

国貞さん:好きでしたね。うちは母がシフト制で調理関係の仕事をしていたので、子供の頃から姉と私で家事を分担していたんです。掃除や洗濯は姉の担当で、料理は私の担当でした。私は当時から料理を作ること、作った料理を人に食べてもらうことが大好きでした。だからいまでも献立を決めるときには「野菜がしっかり摂れるか」と一緒に、「自分が食べたい、食べさせたいと思えるか」を基準にしています(笑)。でも最終的に食を仕事にしよう、栄養士になろうと思ったのは、学生時代に持病を患ったことがきっかけでしたね。いまは普通に食べられるようになったんですけど、一時期は食事に苦労したことがあったんです。

 

 

ポテトサラダも定番品のひとつ。マヨネーズをお酢で伸ばしてから混ぜているため、おいしく罪悪感なくいただける

 

 

― 大好きな料理、食事が思うようにできない状況はとてもお辛かったでしょうね。

国貞さん:そうですね、いろいろと思うところはありました。でもせっかくだから、病気をした経験も活かしたいなと思って。栄養士になれば食に携わることができるし、好きな料理もできる、なおかつ持病や体質で食事に苦労する人の力になれるだろうと思ったんです。病気を経験したことで得た想いが、私の仕事観の原点なんでしょうね。だからこそいまROOFでは、好き嫌いはもちろんアレルギーへの対応、介護職、治療食まで、可能な限り食べる方の体調・体質に配慮したお料理の提供を行っています。過去には野菜嫌いの方から、複数種類のアレルギーのある方、腸閉そくになりやすい状態の方、透析を受けておられる方のお食事や2~3歳のお子さんも食べられる食事まで、対応させていただいたことがありますよ。

 

さまざまな方法で、地域栄養への貢献を続けていく

 

― SNSを拝見すると、特にこの数か月はイベントへの出店等も積極的にされていますよね。

国貞さん:コロナ禍になってお店に来ていただけなくなった分、テイクアウトと一緒に自分から外へ出ることにも注力してきました。そのうちに「健康のために何かしたい」という志を同じくもつ人たちとのつながりもできてきたんです。2021年の9月からは一般社団法人「ぱすおん」さんと一緒に「まちかど保健室」を定期的に開いています。「まちかど保健室」は、地域の方や医療福祉のお仕事をされる方の居場所になればと考え、栄養相談・調理相談や、お菓子セットの提供を行っています。10月3日には、すぐ近くの「オガワ薬局」さんからの提案で薬局マルシェを開催しましたし、今後は「学習塾てらこや」さんとも協力して塾に通う学生さん向けのお弁当販売も始める予定です。地域を巻き込み、栄養士として近隣の皆様がほっとできる場所を作る、健康増進に貢献する地域栄養は私がずっとやりたかったこと。いま、それがかたちになりつつあってうれしく思っています。

 

 

― 開業から丸二年が経ちましたが、今後3周年に向けてやりたいことを教えてください!

国貞さん:自分から外へ行く、特に津山での活動により力を入れていきたいですね。独立開業を決めた頃に岡山市の女性創業塾に参加した関係で岡山市内の知人は多かったのですが、津山で他の事業者さんたちとつながりができたのは最近なので。今後はもっと津山でのつながりを増やして、地域栄養のための活動を幅広くやっていきたいです!ただROOFは私一人でやっているので、外に行くとお店を閉めなきゃいけなくて…。お店の営業と地域での活動、この2つをどう両立させていくかがこれからの課題ですね。

 

 

こちらの質問に答えながら、国貞さんは何度も柔らかく素敵な笑顔を見せてくれた

 

 

 

家庭食堂ROOFのキャッチコピーは、「あなたに寄り添った食卓を」というもの。

 

この短い言葉にはどんな年齢・性別・職業・服装の人にも、気兼ねなく立ち寄ってほしいと言う、国貞さんの想いが端的に表現されています。

 

おしゃれ過ぎず、堅苦しくもなくカジュアルな店内は、本当にもう一つの我が家のよう。

 

事情があって外食が難しいという人も、ぜひ一度ROOFに電話で相談してみてください。あなたに、そしてあなたの家族にも寄り添い、素敵な食事と時間を提供してくれるでしょう。

 

 

家庭食堂ROOF Facebook
取材・文:灘岡もえ
取材日:2021年10月28日

 

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