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自転車と"写ルンです"で巡る津山の町。【山田ルーナ津山滞在記】

ワーケーション

自転車と”写ルンです”で巡る津山の町。

取材・文:山田ルーナ

Living Anywhere Commonsメンバーで、ライターの山田ルーナさん。
LivingAnywhreCommons津山のINN-SECTを拠点にワーケーションしながら、津山滞在記を執筆いただきました。

 

山田ルーナさんの詳しい自己紹介はこちら
https://note.com/1137y/n/ndd6ddc5839b6

目次

はじめに

皆が口を揃えて、津山のことを「何もない」と言った。だけどそこには、我が子の長所を謙遜するような、ちょっとした誇らしさが含まれているように感じた。

 

津山市に滞在したのは、4月末のこと。この時期の津山は、春とはいえ寒暖差が激しく、朝の気温に合わせて洋服を選ぶと、昼はとにかく暑い。

…そこでおすすめなのが、自転車だ。

 

津山観光センター」で自転車を借りることもできるが、私の宿泊したゲストハウス「INN-SECT(インセクト)」では、滞在中無料で自転車を借りることができた。

 

古風な城下町に映える、ライムグリーンの自転車。

本記事は、この自転車に乗って、津山を巡ったある休日の記録を、写ルンですの写真とともにお送りしたい。

自転車を借りて

「INN-SECT」に滞在するなら、積極的に自転車を借りよう。
(※レンタル可能時間は1Fカフェ営業時間に準拠する)

 

 

津山市は、意外と広い。城下町だけでも 歩きではとても回れないほど広いし、施設と施設に距離がある。

だから観光には、自転車が便利だ。特に今の時期は、歩きよりも自転車の速度の方が爽やかで気持ちがいいし、何よりサイクリングというのんびりとした響きが、津山市の穏やかな雰囲気によく合っているように感じる。

 

あるオフの日。私はこの自転車を借りて、津山市をぐるっと回ってみることにした。

津山まなびの鉄道館

まず向かったのは、「津山まなびの鉄道館」。

国内に現存する扇形機関車庫の中で2番目の規模をほこる「旧津山扇形機関車庫」をはじめ、転車台(ターンテーブル)や珍しい車輌、ジオラマなどを見学することができる施設だ。

 

 

実はここ、津山駅に着く前に車窓から見えて、気になっていた場所だった。

扇形機関車庫ならではの古風な曲線は、外から見ても、内から見ても、美しい。私は鉄道ファンではないが、昔のものがこうして大切にされ、現代でも愛される様子に、大きなロマンを感じた。鉄道ファンやお子さまだけでなく、多くの方が楽しめると思う。

 

 

個人的に好きだなぁと感じたのは、施設のチケットが切符仕様になっていること。車掌に扮したスタッフさんが、当時使われていた日付印字機(ダッチングマシン)で、その日の印を押してくれる。大人ながらに、なんだかワクワクしてしまうのだった。

 

この施設は駅からは近いが、津山城付近からは川を越えなければいけないため、少し遠く感じる。そのためサイクリングの予定にはぴったり。私以外に、おそらく観光中のご夫婦も、自転車で来ていた。

どこか懐かしい、のどかな街並み

ここからはしばらく景色を楽しみながら、次の目的地まで30分弱のサイクリング。蓮華畑や、線路のすぐそば、細い坂道や、大きな橋の上を、自転車でスイーっと走る。学生たちの笑い声や畑のご夫婦の話し声、川の音や、遠くの列車の音を聴きながら。

 

 

思わず自転車を止め、シャッターを切り、見入ってしまうこともしばしば。穏やかな時間がとても心地よくて、知らない場所なのに、よく知っているような、不思議な気分だった。日本の古き良きところというか、日本人なら誰もが抱く郷愁のようなものを、この土地は持っているのかもしれない。

 

PORT ART&DESIGN TSUYAMA

向かった先は、「PORT ART&DESIGN TSUYAMA」。旧妹尾銀行林田支店であり、以前は洋学資料館として使われていた建物が、現在は現代アートのギャラリーとして活用されているそうだ。

 

 

残念ながら展示の入れ替え期間だったので ギャラリースペースには入ることができなかったが、レンガ造りの建物は趣深く、重厚な雰囲気だった。こういう建物にどのように現代アートがマッチするのか、とても興味が湧く。

 

津山洋学資料館

PORT ART&DESIGN TSUYAMA」からすぐの場所に、新しい「津山洋学資料館」がある。

日本で唯一の洋学に関する資料館で、伝統ある津山という土地だからこその情報が満載。

 

 

充実した内容もさることながら、見どころは、その建築だろう。

象設計集団の富田玲子氏による建築で、蘭学に深く関係のある津山の洋学らしく、オランダ風と日本様式とが融合したような佇まいが印象的だ。展示室では、オランダ北部の伝統的絵付けヒンデローペンの装飾も楽しめる。

この写真は図書室で、壁紙をはじめとしたインテリアが可愛くて、思わず撮ったもの。

 

 

施設内だけなく、薬草を中心とした外の植物や、お庭の芝生に設置された胸像なども素敵。

異色なようで、城東地区の町並みにうまく馴染んでいるのも面白い。

オリジナルグッズも可愛く、とても心躍る空間だった。

チョット不思議な新しい津山

次の目的地まで、またのんびり自転車を漕ぐ。別記事でご紹介したが、喉が乾いたら「コーヒースタンド 福寿湯」のコーヒーがおすすめだ。「津山洋学資料館」で、「珈琲」という漢字の発祥が津山市の宇田川榕菴だと知ったあとに飲むコーヒーは、ちょっとオツなものだろう。

 

 

あまりに有名なので本記事では割愛するが、「つやま自然のふしぎ館」もこの流れでチェックしたい。

 

 

城西地区まで自転車を走らせると、「田町文化STORE」がある。建物2Fのレトロなカフェでは、自家製コーヒーゼリーが絶品(ここでもコーヒー!)。1F古着屋や、2Fカフェ奥のレコード屋も、ハマる人にはどハマりするだろう。時間に余裕をもって訪れたい建物だ。

 

 

城を中心に、面白い建物が随所に点在する。ほどよい距離をもって、それぞれ独特の魅力をもって。
伝統的な町並みの中の、このチョット不思議で、新しい雰囲気は、京都にもない、津山独自の文化のように感じる。

これからさらにどんなふうに発展するのだろう。数年後また同じコースを訪れたいと、私は楽しみに思った。

Nishiima 25

最後に訪れたのは、「Nishiima 25(ニシイマ ヴァンサンク)」。

 

 

古民家を改装したギャラリー/カフェ/宿泊施設で、そこには 外よりも時がゆっくり流れているような、異空間が広がっていた。

私が伺った日はちょうど彫刻作家の方の展示初日で、オーナーに丁寧にご案内いただいた。オーナーご自身もアーティストであり、その空間で暮らしながら、作品制作をしているという。またパティシエでもあり、カフェでオーダーできる食事やお菓子は、すべて手作りだそう。

 

 

特設展示も素晴らしかったが、特に印象的だったのは、オーナーのお父様の彫刻作品。大切なやわらかい記憶が、そっと時間に溶け出すように、その作品を中心に、空間がつくられていた。
非常に芸術性の高い空間で、こんな場所があるなんてと驚く反面、津山市だから成立するのかもしれないと、妙に納得してしまった。

城周辺からはすこし離れるが、津山市滞在にあたって是非行くべき場所のひとつだと思い、ここにご紹介する。

おわりに

午前中からめぐり、ぴったり16時頃、「INN-SECT」到着。
自転車でぐるっと津山をまわり、「写ルンです」も、もうフィルムを使い切った。

 

 

皆が口を揃えて、津山のことを「何もない」と言った。「何もない」。だけど、それが、いいんじゃないだろうか。
きっとそれは「何もない」のではなく、「必要なものだけ」をもっているのだ。

空が広く青いかったこと
川の水がキラキラしていたこと
山が端正なかたちをしていたこと
おじいさんが愛おしそうに畑を眺めていたこと
そこに生きる子どもがいるということ

サイクリングをした一日を思い出し、私は心の中に、こういった風景を思い出していた。それらは「写ルンです」には決して写らないけれど、私たちにとって、もっとも大切で、必要なものなのかもしれない。

 

津山城を中心に、穏やかな時間が流れる津山市。伝統の中を新しい風が吹く、良い町だと感じた。