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この地域の方々も一緒になって一つずつ成長していきたい。

津山信用金庫 理事長

松岡 裕司

津山市

岡山県にある、津山信用金庫 理事長 松岡 裕司 - 岡山県北の求人情報サイト「いーなかえーる」さんに、お話を聞いてきました。

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1地域における“原点回帰”。

松岡さんは、信用金庫を支える中央機関として、海外、全国を回り、40数年ぶりに故郷である岡山県北にもどられ、岡山県津山市にある津山信用金庫理事長として県北・作州地域を活性化していくことに尽力されています。
丸尾

今、松岡さんが津山信用金庫で力を入れている事は、どういったことでしょうか?

松岡

もともと信用金庫というのは株式会社ではなく、協同組織の金融機関です。協同組織というのは、この地域の人々が出資して作った金融機関という事です。
では、地域の人々が出資し合って何のために金融機関を作ったのかと言ったら、この地域のためですよね。それが信用金庫の原点です。私が今やっていることは、要は信用金庫の“原点回帰”です。それをちょっと忘れちゃっていたなぁって。

丸尾

“原点回帰”と言われましたが、時代の流れとともに、信用金庫が良くも悪くもいわゆる「株式会社の銀行」のようになってきた部分もあるのでしょうか?

松岡

それはあります。現在、機能面では「株式会社の銀行」と「協同組織の信用金庫、信用組合」などは、金融機能やサービス、商品はイコールですね。金融機能はどこでも同じなのだけれど、目的がちょっと違います。

銀行は株式会社だからどうしても収益に注目します。株主としては株価を上げてもらいたいし、特に今は外資系がたくさん株主に入っていたり、挌付もされているから、そういうところは数字で見ていくでしょう。だからどうしてもそういうふうにならざるを得ない。しかし我々は、収益は結果であって目的ではないから、その点において違うのかなと思います。

もちろん金融機関であるがゆえにそこがしっかりしていないとだめですが、私たち津山信用金庫が行っている事は、ここ作州地域を活性化するために、企業活動を応援するために金融事業だけでなく情報収集をして情報を提供するという事も大切な役割として行っています。

丸尾

やられていることもたくさんありますね。手段の一つとしての金融と言ったらいいでしょうか。

松岡

企業活動とか個人の生活でもそうですけど、事業を続けていくとお金というのがどうしても必要になります。だからといって「預金を集めます」とか「貸し出しをします」とかいう「金融に組み込まれている機能」が先ではなく、お客さまには「何か課題はありませんか」、「悩みはありませんか」という話から始めますね。

丸尾

信用金庫は、“景気動向調査”を行われていますが、それも情報を吸い上げてリアルにそれを提供し、活用してほしいという意味もあるのですよね。

松岡

まさしくその通りで、私がここに帰ってきたのは4年半前なのですが、その時は津山信用金庫の景気動向調査先というのは20社もありませんでした。

丸尾

そうなのですか!(驚)こんなに会社はたくさんあるのに、調査先が20もなかったのですね。

松岡

これはいかん!ということで最初125社から始めて、今は250社です。最終的には500社くらいまで行いたいと思っています。たくさん集めたほうが情報は正確になります。でも全国で津山信用金庫くらいの規模で調査を250社も行っている信用金庫はありませんが。

現在、信金中央金庫という組織が中心となって全国に267の信用金庫があります。それらの信用金庫の取引先から集めた全国の景気動向調査ということで、その結果もフィードバックをしています。それは全国、地区という区分で。あと県もあるかな。それが全体で1万6千社を超えているんですよ。

丸尾

その中の250社といったら、かなり細かい活動をされているということですね。

松岡

私はそこが一番大切だと思っています。この地域の地場産業であると考えられる分野は特別に統計を取っています。例えば木材加工業とか、ステンレス加工業、医療福祉。それから、この地域は車がないと通勤もできない車社会なので、自動車小売業とか。あとは農林業、住宅産業も。これらは個別に統計を取って指標を出しています。それも地域別に行っています。津山・鏡野、美作、それから真庭。この規模の地域で、ここまできめ細かく行っている信用金庫は、他地域では無いと思います。やはりこれが元ですね。企業にとっては様々な悩みや課題があります。例えば、販売ルートをもっと増やしたいとかね。

丸尾

もともと20社程度を調査対象としていた時と、250社を調査対象としている今では、やはり見えてくるものは全然違いますか?

松岡

全然違います。うちの職員が大体1時間くらいかかる取材を通じて、全てヒアリングを行いますから。やはりヒアリングするためには勉強していかなきゃいけないですし。
業種別にこちらサイドで話ができる事や、話をしながら良い答えを導き出すような事も必要です。“人づくり”にも役立つ事だと考えています。

丸尾

なるほど。地域の企業を現場調査することで、“人づくり”人材育成にもつながるという事ですね。またそのように経営者の方とお会いしてコミュニケーションを取る事により、地域企業の経営者との距離感も変わってきますよね。

松岡

そうです。そうすると本当に会社ごとに色々な課題が見えてきます。それに対して解決とまではいかないかもしれないけれど、ネットワークを駆使して糸口となる情報提供を行うように努めています。

240年ぶりに故郷、津山へ。

丸尾

では、松岡さんのこれまでに至る経緯をお伺いしたいと思います。ご出身はどちらですか?

松岡

美咲町です。旧旭町ですけど。高校は津山高校を卒業し大学へ行きました。
京都の同志社大学に行きました。70年安保のときです。それから信用金庫の中央機関に就職しました。

丸尾

先ほど言われた、信金中央金庫ですね。

松岡

もともとは、全国信用金庫連合会という名前でした。当時どんな組織かわかりづらい名前でしたが、農林中央金庫とか商工中央金庫ってあるでしょ。あの感じで、信用金庫の中央機関だから、金融機関らしく信金中央金庫と名前が変わりました。
全国の信用金庫が出資して作った中央機関で、個別の信用金庫ができないことを機能補完する金融機関です。

丸尾

先ほど言われていたように、情報を全国から取りまとめ、それを提供しているのですか?

松岡

それも行います。その他にも様々な機能があります。地方の金融機関で規模が小さければできない事も出てきます。中央機関としてのサービスを提供しながら個別の信用金庫を助けていくと。そういう組織にいました。

丸尾

地域としては全国を回られたのですか?

松岡

仕事柄、全国ですね。海外も経験しました。全国の信用金庫の経営力を強化する部門の責任者もやっていますし、そこでは信用金庫の一部に対して経営や営業力強化のためのコンサルも行いました。私の故郷は県北の美咲町ということもあって、それで縁あって地元のためになるのであれば帰ってやってみようかなと思って帰ってきました。

丸尾

津山に帰ってきたのは、学生時代以来ですか?

松岡

そうです。ずっと出ていましたので40数年ぶりですね。

3「大、中小、零細」企業を大きさで呼ぶことへの違和感。

丸尾

故郷に帰ってこられ、津山信用金庫の理事長として、いろんな仕事をされています。自分の故郷で今までの経験とかノウハウを活かしながら地域に対する仕事をしていくというのは、何か感じられるものはありますか。

松岡

それはありますね。今は東京集中というか大都会に一極集中しており、この地域からでも一度出たら帰ってこない人も多いです。そうするとこの地域で働く世代の人口がどんどん減少し、少子高齢化も進行する。そうなってくると、この地域全体が縮小してしまいます。やはりこれではいけないと思っています。

私は主に東京で働いていた期間が長かったのですが、今思うと、また東京に戻りたいという気持ちは、あまりありません。もう少し地方(岡山県県北部などの地域で)で働く意義とか意味、そういうものをもっと他の方にも感じてほしいとも思っています。都市部で長く働き続けている方の中には年齢を重ねてくるとともに、疲弊してしまっている人がたくさんいます。

それでも、なかなか帰れないというのは向こうで家族、子供の教育とか、ハードルがいくつもあるというのもあります。これからは、そういうところを地方に帰りやすいようにしてあげたいと思います。向こうで幅広く仕事をしている方々というのは充分こちらで力を発揮できると私は思っています。

丸尾

そうですよね。一旦都市部に出て働き経験を積み、その後それを持って地元に帰ってきた場合、企業規模的には小さい企業に転職する形にはなるかもしれないですけど、やるポストというのは逆に自分のキャリアアップに繋がる部分や、やりがいに繋がる部分が実はあるのかもしれないけれど、それも見えていないというか。

松岡

確かに、若いときは安定志向というか、大企業志向というのがあるでしょう。それは人間の自衛本能じゃないけど、感覚的にそういうところがいいと思うのでしょう。私もこれは津山に来てから気づいた事ですが、東京なんかにいると、“大”企業、“中小”企業、“零細”企業、順番じゃないけど大きいところから順にそういう言葉を使います。

私はこの地域に来て、例えば東京から講師を呼んで講習会などを行う時に、中小企業の経営者についての話などがあります。私は“中小企業”という言葉を使わないでほしいと言います。ここで仕事をしている人々には、規模は小さいかもしれませんが大中小の小のところで仕事をしているという感覚はありません。自分達は自分達で、地域のためとか国のために仕事をしているという気持ちがあるし、実際やっていますから。

だからそういう感覚自体がおかしいと地方地域に来てよく感じます。それぞれの人が生きがいを持って、世のため人のために仕事をしているというか。そういう社会のほうがいいなと思っていて。特に規模は小さくても素晴らしいものをつくっている企業が地方にはたくさんあります。この地域の企業もプライドを持って仕事をやっていけると思っています。

4地域だけではなく、外部資源の活用が必要。

丸尾

逆に地方だからこそできることもありますよね。

松岡

経営者と話をしていると、ビジネスとしてマッチングできるなと感じることもよくあります。結局大企業であっても自分達で全部やっているわけじゃありませんから。大きいからいいというものではありません。こういうところをこれから教育の中にも入れてほしいと思っています。

丸尾

教育に、というのはどういったところの教育ですか。

松岡

例えば高校の教育です。学校は社会というものを教えながら教育してほしいと思います。例えば学校の先生は必ず企業で何年か働くとか。東京の私立高は、東大に入るのが目的ではなく、もっとグローバルなところを目指しての教育をしている私学のほうが評価されます。そのほうが先々は日本のためになると思います。

もうちょっとその辺のところを若い人にも教えてあげたいという気持ちがあります。このような事を校長先生の会に呼ばれて話したこともありますけど、なかなか、大きな組織の中の一員だから難しい面もあるみたいで。大体、今の受験のシステムも変える必要がありますね。

丸尾

先ほど規模の大きさには関係なく、マッチングする事でもやっていけると言われました。信用金庫自体もさらに、そういったハブとしての機能を担っていければという事ですね。

松岡

地域と外との繋がりが重要です。企業もこの地域だけでは限界がありますから。やはり外と結ばれている企業の方が成長しています。地産地消は当然として外から稼ぐことも必要です。信用金庫も、津山信用金庫だけであれば経営資源というのは限られていますから、岡山県、中国地方、西日本、全国というふうにそれぞれの地域に在る信用金庫ネットワークは活用していきたいと思っています。私は津山信用金庫に来た時に三本柱を目標に掲げました。それは人材の育成、財務体質の強化、そして3番目が外部資源の活用です。

5身近で緑に囲まれる生活は、東京なんかでは味わえない。

丸尾

先ほど、都会に戻りたいという気持ちはあまりないと言われていました。松岡さんは都会で暮らされ、故郷の津山に戻ってこられました。いわゆる田舎ですがこの地域ならではの生活環境についても、思われることはありますか。

松岡

私は山登りが好きです。自然の中に入るとね、ホッとするんです。しません?あれは多分、人間の本性じゃないかと思っていて。本能的に自然に帰るという。山登りをしたときにすごく感じるんです。こうやって地方で緑に囲まれる生活なんていうのは、東京なんかでは味わえないですよ。

丸尾

贅沢なことなのかなと、帰ってきて思ったりしますよね。

松岡

あとは、働く場所と教育です。だからこちらに雇用する企業が増えていってもらいたいし、既存の企業はもっと大きくなってもらいたい。それが目的で仕事をやっています。

6芯はぶれる事はなく、年々太く成長していく。年輪経営。

丸尾

これから松岡さんがこの地域に対して、やっていこうとか、チャレンジしていこうという事がありますか?信用金庫を通して、個人においてでも、何か考えられている事や伝えていきたい事などがあれば教えていただけますか?

松岡

伝えていきたい事は、理念教育というか。静岡県掛川市に報徳思想を教える大日本報徳社というのがあります。そこに行くと二つの大きな門柱があって、経済門、道徳門と言う文字がそれぞれ柱に書かれています。二宮尊徳が言う道徳と経済。道徳ばかりを言っても生きていけない。「経済無き道徳は寝言なり」、でも「道徳無き経済は犯罪」と。調和が大事なのです。

私は“年輪経営”と言っていますが、要するに信用金庫は花じゃなくて木です。桜の花は4月にパッと咲くでしょう。あの時だけは皆さん注目しますよね。でも木の年輪というのは芯があります。芯は絶対にぶれる事はなく、年々少しずつ成長していきます。

自分達だけではなく、この地域の方々も一緒になって一つずつ成長していきたい。そういう気持ちで仕事をしています。だから、仕事を通じてそういうことを知っていただきたいと思います。ここの地域に住んでいる方々が誇りを持ってやらないと、決して良くはならないと思います。そういうところに気づいてもらうために発信していきたいです。

この地域の方々も一緒になって一つずつ成長していきたい。

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「作州地域のパートナー・よろず相談信用金庫」として、お客様と一生涯のお付き合いをする金融機関、小回りが利き地元のことをよく知る金融機関、そして地元に利益を還元する金融機関として、地域や地域のお客様の悩みや課題を知り、解決していきます。

  • 取材日:2016年1月18日
  • 撮影地:津山信用金庫 本店
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