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[Uターン・Iターン・移住]いーなかえーるは、岡山県北の求人情報をご紹介します

ファーム・トゥ・テーブル。生産者の想いを料理に載せて。

おおきな木 

田﨑孝平・田﨑英里

津山市

岡山県にある、おおきな木 田﨑孝平・田﨑英里 - 岡山県北の求人情報サイト「いーなかえーる」さんに、お話を聞いてきました。

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1大切なのは、“生産者との顔を合わせたコミュニケーション”。

丸尾

津山市の阿波(あば)でカフェレストラン「おおきな木」を経営されている田﨑孝平さん、英里さんご夫妻にお話しを伺いします。ここ「おおきな木」は、どういったことをコンセプトにされていますか?

孝平

『ファーム・トゥ・テーブル』生産者から直接仕入れた食材を調理し、お客様に提供することをコンセプトにしています。僕たちが繋がりを得た方から食材を購入して、その方の想いを料理に載せるということを大切にしています。

丸尾

例えばどういった方がいらっしゃるのですか?

孝平

主には阿波、更には加茂や久米、東粟倉の農家さんで、その方々からお野菜やお米を仕入れています。あと、最近では、まほらファームさん、勝央町の農家さん、広島の農家さんから、イチゴや桃、柑橘類といったフルーツも仕入れています。
そうやって1人1人から直接仕入れることで、やっぱり気持ちが入りますし、料理していて楽しいですね。

丸尾

顔を合わせてコミュニケーションがとれる、ということは大切ですよね。

孝平

そうですね。実は『ファーム・トゥ・テーブル』のコンセプトは食材だけに限らず、お店全体がそうなんです。例えば、ここで開業するときも、僕たちは大工仕事が全然わからないので、とりあえず掃除するしかなかったんですけど…。

英里

工務店に頼むとすごい費用がかかってしまうし、「ここだけお願い。あとは自分でやるから」というのができないので、どうしたらいいんだろうと。そんなとき「力貸すよ。一緒にやろうよ」と言ってくださる方と出会えて、少しずつ開業に向けて動き出しました。

孝平

そういうことも『ファーム・トゥ・テーブル』だと思っています。繋がりを持った信頼のおける人と一緒に作るという点では、お店づくりも同じだなと感じました。

英里

ワークショップ形式でいろんな人に手伝ってもらいました。「おおきな木」は、いろんな人の手によって作られているんです。

丸尾

開業に向けて動き出したというのは、いつ頃のことですか?

孝平

2015年の6月ぐらいです。12月5日オープンだったので、半年でガーッ!と。ただ、「最低限ここだけは!」ということでやったので、工事中の箇所が随所に(笑)。

英里

私たち本当に計画性がないんですよね…(笑)。なさ過ぎて、3年後とか2年後のスパンで考えられないから、本当に行き当たりばったりで。

孝平

計画を立てるのは大事ですけど、完璧なものはできない。予測もできないし、何が起きるかわからない。「やってみて問題が起きたら、それを解決する」ということを繰り返していくと、だんだん形ができてくるものだと思っています。

2震災をきっかけに、千葉から移住。

丸尾

岡山に移住される前は千葉にお住まいだったということですが、移住のきっかけはなんでしたか?

英里

東日本大震災です。衝撃的な出来事でした。

孝平

近しい人たちが、移住先として岡山を選んでいる方が多かったんです。それで僕たちの中にも『岡山移住』という選択肢が出てきて。

英里

私は東京出身の都会っ子なので、震災前は都会から離れることは全然考えていなかったんですけど…。

孝平

移住を決めたときは、住む場所も仕事も何ひとつ決まっていませんでした。だから岡山には、何でもやってやるつもりで来たんですよ。最初は、お店をすることまで考えていませんでした。

3阿波の食材のおいしさを知り、開業。

丸尾

岡山県内でも、阿波に決めた理由はなんですか?

孝平

移住先を探している過程で出会った方に「阿波というところがあるよ」と教えてもらって、それじゃ行ってみようかと。

英里

私、雪が積もるところは嫌だったので、「いや、ちょっと待って。私、絶対嫌だからね!」って言ったんです。そのときはまだ住むという話にはなっていなかったんですけど、既になんとなく「この人はここに住みたいと言うだろうな・・・」というのがわかっていました。

孝平

僕はそういう土地が好きで、憧れだったんです。だから「よおし!」って感じだったんですけど、英里さんは助手席で顔を引きつらせていました(笑)。

丸尾

「おおきな木」を開業した理由は・・・?

孝平

近所の方からお野菜を頂いて食べたときに、阿波で作られたものが美味しいということに気づきました。トマトってこんなに美味しいんだ、ジャガイモってこんなに美味しいんだ、と。それで、「この食材を使って自分が作った料理を提供するお店がしたい」と思い立ったんです。

4田舎暮らしで“自分が変わった”。

丸尾

移住前の千葉といまの阿波、子育ての仕方や生活スタイルは大きく違うと思うんですが、都会の暮らしと比べて、阿波で暮らすことについて何か思うことはありますか?

英里

まず、圧倒的に不便(笑)。移住してからの5年間で何度も都会に帰りたいと思いました。でも、なんとかやっていくうちに、この自然の中で地に足ついた生活を送ることに満足感を覚えるようになりました。都会では、お金を払えば便利な生活が手に入りますが、ここではなにか困ったことがあったら、誰かに助けてもらわないといけない。よくご近所さんが「大丈夫?」って助けてくれます。もちろん、自分たちで何とかできる部分は何とかしますが。

孝平

そう。自分でやらなきゃいけないことが格段に増えましたね。雪かきなんてやったことがなかったですし、どうしたらいいのかわからないことがたくさんあるんですよ。なので、都会で会社勤めしていたときとは全く違う思考回路になって、それがすごく楽しい。「俺、こんなところで薪割りしているんだぜ!」ということを自慢したい気持ちがありますね(笑)。田舎に来て、“自分が変わった”ことが一番大きいです。

英里

私はつい最近まで、都会の価値観にとらわれていたんです。定収入を得られる生活が当たり前だと思っていました。でも、この5年間でいろいろな人に出会って価値観が変わりました。自由業の方がたくさんいて、「そんなことが仕事になるの!?」と。自分はその道のプロだと覚悟を決めて突き進めば、どんなことでもお金になるということがわかって。誰かに雇われているのは確かに楽だけど、選択肢はそれだではないと最近思えてきました。ここもただの空き家だったのが、料理を作る人が入ればお金になるし、私もプロになると思い込んで何かやれば、プロになれるんじゃないかと。「人生はこうじゃなきゃいけない。」と思っていたけど、いろんなことに対して「やろうと思えばできるじゃん!」みたいな。

孝平

英里さん、何か新しくチャレンジしようと思ってるよね。

英里

この人を見ていて思ったんです。開業するときも大変だったし、「なんでこんな山奥でやるの?」とか「お客さん来るの?」とか、いろんな人からいろんなことを言われました。だけど、それでもめげずに着々とやっていたら、こんな田舎だけど来てくださる方が増えていって、「そうか、誰に何を言われても、やりたかったらやっちゃえばいいのか」という見本みたいなものを間近で見ていました。

孝平

僕がもう1ついいなと思ったことは、地域の人のことを思って何かをするということがすごく多いし、反対に、してもらうことも多い。してもらうということは、例えば、お野菜を持ってきてくれることもそうですけど、食べやすいように洗ったり、節をとったりするわけですよね。その一連の流れが、その人のことを思っての動きじゃないですか。そこに対しての思いに答える。「この間大根をもらったから、今度はこちらからケーキを持っていこう」とか、そういう発想が自分の中から出てくる。それで喜ばれるという繰り返しが、すごく温かくてうれしいですね。

英里

私もこの5年間、家族のことでいっぱいいっぱいですけど、いつも地域の人に手伝ってもらっていて。上の子供たちの運動会のときも、友達のおばあちゃんがずっと末の子の世話をしてくれていたので、思い切り運動会を楽しめました。最近やっと、皆さんに恩返しできるような仕事を身に付けたいなと思うようになりましたね。

5これからの「おおきな木」。

丸尾

これからこの「おおきな木」をどんな場所にしていきたいですか?

孝平

2階にフロアを作りたいです。階段を作って、2階に上がれるように。

丸尾

隠れ家的な?

孝平

シェアオフィスにしたいですね。2階の空間がすごく広いので、土壁か漆喰を塗って、照明を付けてというイメージなんですけど、とてもいい空間になると思うんです。

孝平

それから、お店前のスペースはハーブガーデンにしたいですし、川へのアプローチ部分は、子供たちが川遊びできるようにしたいですね。

丸尾

いまレストラン以外にされていることはありますか?

孝平

鹿などの肉や骨を加工したペットジャーキーを販売しています。「飼い犬が老犬で、食が細くなってあまりご飯を食べない」とおっしゃる方に贈ったら、「美味しそうに食べたよ!」「在庫があるなら全部購入したい」ということを言ってくださって、予想外に喜んでもらえました。

6受け入れること。自分の感覚を信じること。

丸尾

では最後に、お二人が大切にされていることを教えていただけますか。

孝平

いま僕が心がけているのは、『受け入れること』です。英里さんや子供たち、周りの人も含めて、その人のすべてを受け入れることを意識しています。

丸尾

仕事を突き詰めるということと、周りの人を受け入れるということは一致していますか?

孝平

一致していると思います。まだ受け入れられていないから、まだまだ自分の枠が狭いんですけど、受け入れられたら多分、料理も変わってくるし、やることも変わってくる。まさにリンクしていると思います。

英里

私が大事にしているのは『自分の感覚を信じること』です。ずっとおろそかにしてきたから、自分に全部返ってきていて…。自分の感覚を大事にした方が、みんなのためになるんじゃないかなと思っています。

孝平

僕は彼女のすごいところをたくさん知っているけど、全然出ていない。自分に自信がないことが根っこにあるんだと思うんですけど、過去のことは吹っ飛ばしていいから、いまのこの状態からスタートして、自信満々でどんどん突き進んでほしいです。

英里

ここに来ていろいろな人を見ることができたおかげです。そこを卑下する必要ないのかな、自信持っていいのかなと思って。

孝平

その代わり、思い切り「失敗」してね。

英里

失敗はしています(笑)。

丸尾

これからも楽しみですね。お二人が新しいことにチャレンジして、どんどんできることが広がっていきますね。
本日はありがとうございました。

ファーム・トゥ・テーブル。生産者の想いを料理に載せて。

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おおきな木

カフェ レストラン 古民家 ~おおきな木~
千葉県から津山市阿波にIターンした田﨑さんが経営するカフェレストラン。
地域の素材を活かしたランチやジビエ料理、スイーツなどを提供。
テーマは“farm to table”。

お話を聞かせていただきありがとうございました。カフェレストランでの料理だけではなく、場所自体も“farm to table”、とても共感する言葉でした。これからもどんどん進化していく「大きな木」がとても楽しみです!田﨑さんは千葉からIターンのかえーる人でした。

  • 取材日:2017年9月26日
  • 撮影地:おおきな木
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