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自然と共生し、未来の健康をつくっていく。

後編株式会社山田養蜂場 代表取締役社長

山田 英生

鏡野町

株式会社山田養蜂場の代表取締役社長 山田英生さんにお話を聞きました。

 

#顧客目線の商品開発 #健康とは

#企業の社会的意義 #自然と共生

#デジタル時代だからこそ大切なこと

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7自然環境と共生する

丸尾

それでは後編です。
前編はこちら> 株式会社山田養蜂場 代表取締役社長 山田英生 (前編)

丸尾

私は鏡野生まれ鏡野育ちで小さい頃に御社を拝見したことがありましたが、久しぶりに伺って本社の周りが森みたいになっていて驚きました。皆さんで木を植えられたと伺いましたが、これはどういったお考えによるものですか?

山田

今年の 7 月にお亡くなりになられた横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生から植樹指導をしていただいたのが、この「ふるさとの森」です。もともと 31 歳のときに、自分にはどの様な社会的使命があるのか?ということを考えた結果、養蜂という仕事は、ミツバチによる、受粉行為を通じて生態系を維持していく職業だということに気がついたのです。養蜂は apiculture(アピカルチャー)です。農業は英語で agriculture(アグリカルチャー)と言い、これは自然を開拓して変えていくものです。

 

apiculture(アピカルチャー)とは、自然を壊さないで、そのままの状態で共生していく、養蜂とはそういう文化なのです。ですから、私は自然環境を維持しながら共生していくことの大切さを社会に対して啓発していく役割があるのだと考えるようになりました。

 

人類は森林から生まれ、今では森林から出て生活しているわけですけど、やはり森は、常に地球環境という生態系ピラミッドの底辺で人間を支えてくれているわけです。だからその底辺となる生態系を守り、維持することが、ピラミッドの頂点にある人類にとっても大切なのだということです。

本社は、20年前に社員や家族ら皆で植樹した “森”に囲まれている
丸尾

木の種類もいろいろなものが植えられていますね。

山田

昆虫や鳥たちもこの森に来ますから、自然と植えていない植物もいっぱい増えています。もともと63種類植えたのですが、今100種類以上ありますね。

丸尾

さきほどスタッフの方に野生の動物もここにすんで、子育てしていると聞きました。

山田

そうですね。本社2階の社長室の窓から、ちょうど手が届きそうなところにキジバト(ヤマバト)が巣を作って、卵から孵化するところが見えましたよ(笑)。

丸尾

本当の意味でぜいたくな環境ですね。

山田

せっかく手間の掛かる田舎暮らしをしているのですから、都会の人がうらやましがるような、自然の楽しみが感じられる環境にしないともったいないですよね。

丸尾

植樹されたのが20年前と言われていましたが、20年でこんなになるのですね。もう完全に森ですね(驚)。

山田

先日、フランスのテレビ局から私の植樹の先生である故 宮脇昭先生の植樹活動についての取材があり、私もインタビューを受けました。ヨーロッパでは、貴族や王家の人たちが狩場に使っていた「宮廷の森」が原生林として残っています。日本でいうところの「鎮守の森」ですね。

 

現在では世界中の自然環境は、人類の生活によって破壊され尽くしており、本来の自然の森ではなくなっています。「宮廷の森」や「鎮守の森」に残る、その地域固有の原生の植物を使った、本来のその土地固有の自然の森を再生していくというのが、宮脇先生が考えられて世界中で実践されてきた植樹活動です。

本社敷地、森の中に山田養蜂場商品を販売する『りとるび~はうす』がある。

8輸送方法から再構築し、高品質な蜂蜜を届ける

丸尾

この『りとるび~はうす』は、すごく雰囲気のあるログハウスですね。こちらはどのようなコンセプトですか?

山田

ミツバチの絵本コンクールを開催していて、いろいろな絵本を全国から応募いただいています。その中に描かれているような、“森の中の不思議な蜂蜜屋さん”をイメージしてつくりました。植樹した木が伸びて、大体そういうイメージ通りになりましたね。

たくさんの山田養蜂場の商品が並ぶ『りとるび~はうす』店内。
丸尾

ここ『りとるび~はうす』に置かれている商品の種類もすごく多いですね!この大きなアカシア蜂蜜はどういった蜂蜜ですか?

山田

このアカシア蜂蜜はルーマニア産のものです。私がルーマニアへ行った時に、実際に巣箱に直接手を入れて食べた蜂蜜の味が素晴らしく、感動したのです。その感動した味のままで蜂蜜を仕入れるために、さまざまな工夫をしました。容器詰めの過程における徹底した温度管理や、既存の蜂蜜の輸送方法を全く無視して、高級ワインを輸送するときと同じ保冷コンテナでの輸送などです。容器詰めの温度は、通常50~60℃で行われているものを35℃に決めていますし、保冷コンテナでの輸送も、桁外れのコストがかかります。

丸尾

温度が品質に、大きく影響しているのですね!?

山田

コンテナの輸送中には赤道を2度も通るのですが、赤道を通ると内部の温度が70度くらいまで上がります。温度がそこまで高くなると、蜂蜜の風味がなくなってしまうのです。風味をそこなわずに日本のお客さまに届けたいという想いからできた商品がこの蜂蜜です。

丸尾

輸送の仕方から構築する必要があるのは大変だと思いますが、とても重要なことですね。

山田

非常に重要です。瓶詰の工程でも、蜂蜜を充填しやすくする為に、普通は50~60℃に加熱するものなのですが、その加熱温度を35~45℃に抑えるなど、必要以上に上げることを禁止しています。そのような温度管理によって、蜂蜜に存在するさまざまな有用性を失わずに済むことにつながっています。

 

例えば、鎮咳作用や、歯周病菌を殺菌する作用がこの蜂蜜には100%残っているんです。しかし高温の熱を加えられた蜂蜜では、その機能性の大半が失われているのです。

9「ミツバチの一枚画コンクール」を毎年開催

丸尾

本社の壁にたくさん飾られている、ミツバチの絵画はどれも素晴らしいですね。毎年「ミツバチの一枚画コンクール」を開催されていますが、どのぐらい作品応募があるのですか?

山田

今年は国内外から、2万点を超える応募がありました。

丸尾

すごい数の応募があるのですね(驚)!?このコンクールを始められたのはどういった経緯ですか?

山田

企業として、社会に対してどうすればよい形で関わっていけるかということを考えた活動です。一枚画のコンクールに参加していただいてミツバチを描くことで、自然の大切さや、命の大切さ、助け合うことの大切さ、そしてSDGsにも意識を向けていきたいなど、いろいろな思いがこもっています。

本社の壁にはミツバチをテーマにした一枚画が、所狭しと飾られている。

10デジタル時代だからこそ、人間的感性を大切に

丸尾

最後に、山田社長が日頃から大切にされている言葉などがあったら教えてください。

山田

通信販売は、お客さまの痛みや、喜び、お客さまがどう感じるだろうかという、相手目線によって成り立つビジネスなんですね。

 

今の社会を見てみると、この新型コロナウィルスの出現によって、ますますデジタル化に拍車をかけられて、直接顔を合わせてのコミュニケーションが減ってきましたよね。ですからこれからの社会で重要なキーワードというのは、「人」だと思います。相手を一人の人間として捉えて、相手の人間的な感性を理解した上で、さまざまなサービスや商品をつくっていくことを大切にしたいと思っています。

自然と共生し、未来の健康をつくっていく。

 

株式会社山田養蜂場

はちみつ・ローヤルゼリーの製造をはじめて70年以上。 研究と開発を繰り返し、健康食品・化粧品など、各種ミツバチ産品をお届けしている。

 

岡山県苫田郡鏡野町市場194

お話を聞かせていただきありがとうございました!山田社長ご自身の原体験から、本質的な健康とは何かを模索し、形にし、商品・サービスとしてここまでの規模の事業とされているお話をお聞きしました。地域から価値をつくっていく上で、とても大切なものを教えていただいた思いです。そしてその原動力についてもお聞きでき、とても感銘を受けました。山田社長は、鏡野町にUターンで、これからの人の健康のあり方を変えていく「かえーる人」でした。

 

【さらに編集後記】

また、興味からお聞きした、山田社長のご趣味のお話から、本社敷地内にある絵画ギャラリーも見せていただきました。中学生時代の美術の先生に絵を教わったことがきっかけで、大学でも美術部に所属し、油絵を描かれていたこともあったそうです。社会に出てからも絵画への興味は尽きず、折々に買い求めたものが数百点あり、ゆくゆくは一般公開も予定されているとの事です。

 

300点が並ぶアートギャラリー。

 

 

ここには、農業を原点とする山田養蜂場らしく、フランス絵画のバルビゾン派(ミレーなどに代表される風景や働く農民の姿などを描いたことが特徴の画家たち)の絵画を中心とした約 300 点が展示されていました。ミレーのコレクションにおいては、日本でも三本の指に入るコレクションとのことです。大変貴重な体験をさせていただきありがとうございました!

 

 

 

  • 取材日:2021年11⽉9⽇
  • 撮影地:株式会社山田養蜂場 本社 (岡山県苫田郡鏡野町)
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