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ここ津山にこだわった、家具づくりを。

前編株式会社すえ木工 代表取締役社長

須江 健治

津山市

株式会社すえ木工の代表取締役社長

須江健治さんにお話を聞きました。

 

#ものづくりの本質

#帰る場所があるということ

#時代変化に対応

#繋がるクリエイティブ

#この場所にこだわる

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1TSUYAMA FARNITURE(津山家具)の取り組み

丸尾

すえ木工という社名から分かるように、木材を活かした家具づくりが中心だと思うのですが、例えばどういったものがあるのでしょうか?

須江

まず「壁面収納」と言われるオーダーの収納家具を、家具事業部の方ではメインで作っております。そして壁面収納以外にも、ダイニングテーブルやソファ、そして棚など「住空間をデザイン」する家具づくりをしています。

丸尾

さまざな商品をつくられているのですね。

須江

さらに最近だと、美作の地元の木材を使って、それを地元の製材所が製材したものを使わせていただくというところで、地域に特化した取り組みも行なっています。TSUYAMA FARNITURE(津山家具)です。

 

 

「TSUYAMA  FURNITURE  津山家具」津山企業の技術を用いて、地元産材の本来の美しさをシンプルに表現した家具シリーズ。技術力をもった津山市の複数企業が参画。

TSUYAMA FANITURE(津山家具)を紹介するブランドブック
丸尾

この津山家具、ちょうど先日PORT ART & DESIGN TSUYAMA(ポート アート&デザイン津山)に展示されているのを拝見しました。すえ木工さんは、この津山家具の中でも7種類ぐらいの家具をつくられていましたね。

すえ木工が手がけた「ヒノキのパーテーション」(津山家具)
丸尾

すえ木工が手がけられている「ヒノキのパーテーション」もすごく面白くて、おしゃれで、コンセプトも現代に合ったものですよね!
空間の仕切り方もよい感じにできそうですね。あのひもの接続部分が、すごくシンプルで美しいのですが高い技術が必要だとお聞きしました。

須江

そうなんですよ。これ「紐蝶番(ひもちょうばん)」というものを、たくさん配置しています。全部一つ一つ手で編んでいくというか、結っていくというか、木と木を本当に紐だけで編んでつなげていくんですよ。

 

木に穴を開けるのが、実は真っすぐじゃなくて、斜めに開けないといけないんです。板の厚みの分ずらして、出た先が次の紐の頭に来ないといけない。斜めに穴を開けていくのがすごく難しいんです。シンプルに見えて斜めや、真っ直ぐなど、穴の形がいろいろあります。

板と板が、紐蝶番により編まれている。
丸尾

一見シンプルに見えて複雑なのですね。

須江

そうですね。この加工方法を確立するだけで1年以上かかっています。

「ヒノキのパーテーション」は簡単に折りたたむことができる。
丸尾

それだけ実現するのが難しいということですね。

須江

そうですね。それゆえに完成までの道のりも思い出深いプロダクトですね。

2ここ津山にこだわり、時代とともに変化を遂げてきた

丸尾

すえ木工としては壁面収納や、こういった地域素材を使ったデザイン家具の取り組みなどもされていますが、もともとはどのような成り立ちだったのですか?

須江

歴史でいうと、創業して現在で76年ですが、もともとは、「別注家具」の職人集団で、広範囲に仕事をさせてもらっていたみたいです。その一部に、木を蒸して曲げて“曲木(まげき)”をしてソファのひじ掛けをつくったりもしていたり、ルーツでいえばそのあたりになります。“かんな”や“のみ”で木を仕上げて、いすやソファをつくっていたんです。

 

その後、だんだんと学童机ブームがきて、学校机、いすをつくるようになりました。鉄を曲げて塗装することも行なっていたので、焼付け塗装ラインもありました。当時は大量に作っていたみたいなんですけど。現在では大手メーカーがコストを重視して作っているので、どの学校も同じ形の学校机やいすになっていますよね。でも昔は地域ごとに、いろいろな種類があったんです。当時うちがつくっていた学校机やいすを今見てみると、ミッドセンチュリーっぽく脚がテーパードになっていたり、とてもカッコ良いものでした(笑)。

 

そして業界も変わってきて、日本の経済成長とともに、建材系の材料を使って、婚礼家具を大量につくるようになりました。婚礼家具は服を吊ったり、引き出しに着物入れたり、いろいろな機能があったのですが、そもそも結婚するときにお嫁さんが婚礼家具を持って嫁いでいくという文化があったんです。

 

映画の寅さん(『男はつらいよ』)とかにもそういったシーンが出てきますけど。昔、僕が子供だったころ、配達に一緒に行っていた覚えがあって、トラックに赤と白の飾りを付けて、トラックのフロントに「寿」のマークを貼って向かうんですよ。そして、そのトラックは絶対にバックしちゃいけないと。

丸尾

それは、聞いたことがありますね!

須江

そして運ぶのを手伝っていたのですが、おめでたい場なので、いつも最後に応接間や食堂に座らせてもらって、お菓子やお茶を出してもらえて、さらにご祝儀までもらえるんですよ。子供ながらに「これええ仕事だな・・・」と思って手伝っていました(笑)。

 

だんだん、そういう文化も無くなってしまったので、その後はキッチン関連のものをつくったり、食器棚をつくったり、様々なものをつくってきました。その中でも一貫していたのは、ここ津山に工場があるので、国内生産にこだわってきたことです。時代の流れもあり海外の安いものも入ってきたり、人件費が安い中国やタイ、ベトナムなどに出ていったりするメーカーも多かったのですよ。

 

しかし、私たちとしては、やっぱり津山に従業員がいて、ここで今までやってきて、この先もみんなと一緒に幸せにならないでどうなのか?みたいな感覚がありました。
その先に何の幸せがあるのだろうか?もちろん事業なので稼ぐ必要もありますし、価格競争力も必要です。それらを考えて私たちは「ここ津山の工場に常にこだわって、ここでできることを、しっかりやっていこう!」と、“壁面収納事業”を始めたのです。

すえ木工の壁面収納。かんたんに思い通りに注文できるシステム家具。

3多様なニーズ、個別オーダーに対応する壁面収納事業

丸尾

壁面収納を始めるのも、事業としてはとても大きな変化ですね。

須江

それまでの、婚礼家具などは、「このたんすを100セット」とか、「このチェストを100セット」と同じものをたくさん作っていました。でも壁面収納となるとお客さまの家ごとにオーダーして、個別にサイズを替えて納めていくので、工場が対応していくことが大変でした。

 

それまでは、同じ製造ラインを一度セットしたら流していけたのが、壁面収納ではオーダーごとに一個一個製造ラインのセッティングを変更する必要があります。組み立ても一個一個違うし、アイテム数も多いし、初めはとても苦労しました。

 

今ではこれがもう18年目になりまして、初めは100本つくっていたのを、例えば50本にして、20本にして、10本にして、5本にしていうのをずっと対応調整してきて、今はもうお客さまから注文いただいたら、その単位でつくれるような工場になりました。

 

そこまでを18年間かけて進めて来ました。設備も変えましたが、何より受注から製造、出荷まで、それぞれのポジションから日々カイゼンを積み上げてくれたスタッフの努力と資材納入業者さまにご理解いただき協力していただいた結果です。そのおかげでオーダーメイドができる家具の分野では、上位の地位を確立できたと思っています。

丸尾

それこそ壁面収納は、ニーズに合わせて部屋をつくるようなものですね。

須江

そうです。最近はテレワークをされる方が増えて、壁面収納を使ってテレワーク空間を作りたいというご要望も多いんです。例えば、壁面収納と壁との間に人が入れるくらいのスペースを空けて、壁面収納を設置する。そうすれば、壁面収納を間仕切りとして、壁との間にテレワーク空間が出来上がります。そこをウェブ会議や仕事に活用するようなケースもあります。

丸尾

これからもいろいろな使い方が出てきそうな感じですよね。

須江

そうですね。機能商品なので、機能性としてはなくなることはないかなとは思っていますし、これからの変化にも対応していける商品だと考えています。

ここ津山にこだわった、家具づくりを。

  • 取材日:2021年10⽉28⽇
  • 撮影地:株式会社すえ木工(岡山県津山市)
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